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《栄養士☆成功事例インタビュー》管理栄養士 嶋田雅子さま① ~栄養士としての原点/女子栄養大学時代の『実体験』~
2016年02月19日
栄養士☆成功事例インタビュー第3回目は公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターにて研究員としてご活躍されている管理栄養士の嶋田雅子さんにご登場いただきます。嶋田先生は女性としてのライフサイクル(就職~結婚~出産~子育て~復職)の中で理想的な流れでキャリアを積み上げ「自分らしく」活躍出来るステージに常に立ち続けてらっしゃる管理栄養士さんです。
まずは嶋田さんの簡単なプロフィールをご紹介します。
• 女子栄養大学 栄養学部栄養学科卒業後
• 女子栄養大学 栄養科学研究所 栄養クリニックにて約7年間勤務
• その後 結婚~出産を機にパートタイムや非常勤の形で
• 「保健センターでの臨時職員及び栄養指導の受託」
• 「健保組合の保健事業の委託を受けた企業での保健指導業務」
• 「内科クリニックでの外来&在宅訪問栄養指導」
• 「居宅介護支援事業所での介護支援専門員業務」
• そして「農水省消費・安全局の食育担当課のアドバイザー」を歴任
• ほぼ同時期に女子栄養大学や栄養士養成専門学校での非常勤講師も担当する。
また、各業務で必要となる
• 「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「NR・サプリメントアドバイザー」「在宅訪問管理栄養士」「健康運動指導士」の資格も並行して取得されています。
驚くことに、これだけ歴任されたお仕事のほとんどが「紹介」。つまり、必要とされて「選ばれる」ということ。では、どうすれば「紹介」される栄養士になれるのか?お話を伺っていく中で嶋田先生の栄養士の原点を作った学生時代にその秘密が有りました。
【第一部】の今回はその辺りの内容を中心に伺ってみました・・・
質問を切り出す麦島コンサルタント
嶋田先生のバイブル!?「実習ノート」
ポイントを的確に解説して下さる江口先生
◇「今の私」を作った「栄養クリニック」での実習
※今回も学習院女子大名誉教授の江口泰広氏とショクライフコンサルタント麦島健生との対談形式でインタビューを行いました。臨場感を大切にお届けしたいと考え、対談形式の構成となっております。〈編集部〉
✲麦島コンサルタント)
管理栄養士、介護支援専門員、NR・サプリメントアドバイザー、在宅訪問管理栄養士、健康運動指導士と、資格をいっぱいお持ちですね。全てが管理栄養士に関連する資格になりますので、最初になぜ管理栄養士の資格をとられたのか?お聞きしたいのですが・・・
✲嶋田先生)
実は・・・絶対管理栄養士として働きたかったわけではないんです。
ただ、資格をもった仕事がしたかったんですね。手に職をつけたかったというか。人に「何か」を伝える仕事をしたいなと思っていたんです。しかし、教師になるには勉強も多く、その頃は、それ程の意欲はわかなかったんですよね。そこで、母に相談したところ「薬剤師」とか「栄養士」とかがいいかもね?となり、栄養の勉強なら実生活でも役に立つし、栄養士がいいかもね?となったんです。そこで、大学名に「栄養」が入っていた『女子栄養大学』に行くことにしたんです。
本気で管理栄養士で働きたいと決心したのは大学3年生の時に3ヶ月間、女子栄養大学の中にある「栄養クリニック」で実習を行ったことがきっかけでした。
✲麦島コンサルタント)
学生のうちに、栄養クリニックで実習されたということなんですね。
✲ 嶋田先生)
そうなんです。必修科目ではなかったんですけど・・・
栄養クリニックでは、正しい食生活を実践して生活習慣病の予防や改善を行っていましたが、3か月間その栄養クリニックの管理栄養士が、実際に受講者の方に実施する栄養プログラムを体験させてもらえるという研修プログラムを経験したんです。
その時の、実習ノートを今日お持ちしました。あの栄養クリニックで経験したことが、今の私を作っているんです。
✲江口先生)
偉いね!それが、自分のバイブルになっているわけだ。
◇五感で『栄養の力』を確認できた3ヶ月
✲嶋田先生)
ここで、3か月間食事記録をとって、自分の身体の変化を確認してきたんです。
✲麦島コンサルタント)
栄養クリニックの対象の方は一般の方なんですか?
✲嶋田先生)
はい。基本は一般の方が対象です。
大きな病気ではなく、「ダイエットしたい」とか、「糖尿病の食事の勉強をしたい」などという方が、有料で週に1回、3か月間、ダイエットや生活習慣病改善のための栄養や運動のしかたを学ぶコースを実施していました。そのコースを、学生の実習として、自分も体験させてもらいましたし、一般の方に実施している内容も見せていただきました。
食事が変わることで対象の方が変わっていったんですよ!!
自分自身も変わりましたし、食事でこんなに人を変えられるんだと実感したんですよね。そんな仕事をしている管理栄養士さんも皆さん生き生きしていたんですよね。
その姿を見て、私も管理栄養士になって、人々に影響を与えていきたいと思ったんですよね。私も人々に食事のアドバイスが出来るような仕事がしたいと思ったんです。
『栄養の力』を目の当たりにしたことが管理栄養士になりたいと思った原点なんです。
✲江口先生)
若い頃に見た『実際に生き生きした管理栄養士の姿』が動機付けになったわけですね。
そして、その頃に『食事が人を変える』という《素敵な事実》を発見できたことが大きな財産になりましたね。それを、早い時期に気づいた人と、そうでない人では『その後』が変わってくるでしょうからね。
✲嶋田先生)
『食生活の改善』で『体重』『体型』が変り、『着る服』が変わってくると『気分』まで変化してきて、『自信を持つようになってくる』。自信がつくことで更に『明るくなり』『家族などの周りの方々への態度も変わっていく』。そうした姿を直に見ることができたんです。
✲江口先生)
『食による連鎖反応』ですね。食で環境が変わり、自分が自信を持つことで笑顔になり、家族も楽しくなる。科学ですね!自分がニコニコすることで、家族も笑顔になって、社会全体が明るく感じられる。『食による影響力』を体感できたということが良かったですね!!
『効果が見える経験をその実習で体感できた』『学校の授業が楽しいと感じられた』『自分が実施したことによる結果が見えてくることでモチベーションが上がる』という貴重な経験を学生時代にされたんですね。こうした実際の経験によって学べたということが素晴らしい。『自分自身が取り組んだ事に対する効果を得ることができた』ということが大きな財産となりましたね。
✲麦島コンサルタント)
今の管理栄養士の方々も口をそろえて言うことが、『自分のやっていることの効果が見えてこない』ということなんですよね。給食の現場で働いていても、作った給食がどんな影響を及ぼしているのか見えてこないのでモチベーションが下がってますよね。『栄養士としての幸せ』を感じられている栄養士さんが少なくなっているのかな?と感じることが最近多いですね。効果が見えてこないことは苦痛なんですね。
✲江口先生)
人間は評価をされて、成長しますからね。喜んでもらえる評価をもらえることは大切ですよね。感謝されることが、人々のやる気を引き出しますからね。それを若いうちに知ることができたのは良いことですよね。やはり、勉強の場を求めていったときに、社会に関連のある内容を求めていけたということがよかったんでしょうね。
✲嶋田先生)
この実習期間中のものをまとめたノートが私のバイブルの様な存在なんです。3ヶ月間毎日食事記録をつけて栄養計算するのは大変でしたが、自分がこれだけ頑張れたという『結果』が『結実』したものでもあるんです。私もこれだけ出来るんだ!やり切れたという達成感が持てるノートだったんですよね。自分の自信になりましたね。
✲麦島コンサルタント)
そして、この経験があったからこそ卒業後そのまま「栄養クリニック」に勤めることができたんですね。
☆嶋田先生の【第一部】はここまで・・・
嶋田先生はその後、幾つも現場で活躍されて行きます。それぞれの現場で立場以上の責任感を持って仕事に臨む姿勢から信頼を得、その「信頼」が次のステージへとつながっていくという働き方になって行きます。
その原点になったのが学生時代に体験された「栄養クリニック」での実習だったという内容を詳しく伺うことが出来ました。
不思議な事になりたかったのは「管理栄養士」ではなかった!という部分が1回目の宮島先生、2回目の緋宮先生も同じでした。しかし、活躍されている栄養士さんの共通点としていつかのタイミングで『栄養の力』『食による効果』を強く実感する体験をされているという共通点を発見しました。
さて【第二部】以降では栄養士としてどの様に働き、どの様に「紹介」されて来たか?について伺っていきます。栄養士としての「未来の自分づくり」や「キャリアデザイン」に大変参考になると思いますのでどうぞご期待下さい。