ショクライフTOP > 栄養士の働き方 > 《栄養士☆成功事例インタビュー》管理栄養士 嶋田雅子さま②~「紹介される」働き方~

《栄養士☆成功事例インタビュー》管理栄養士 嶋田雅子さま②~「紹介される」働き方~

2016年04月15日

栄養士☆成功事例インタビュー第3回目。公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターにて研究員としてご活躍されている管理栄養士の嶋田雅子さんの2回目をお届けします。

1回目では、女性としてのライフサイクル(就職~結婚~出産~子育て~復職)の中で理想的な流れでキャリアを積み上げ「自分らしく」活躍出来るステージに常に立ち続けてらっしゃる嶋田さんの原点になる女子栄養大学時代の実体験についてお届けしました。

2回目の今回は嶋田さんの大きな特徴である「紹介される」働き方の秘密を紐解いて行く内容になっております。


まずは嶋田さんの簡単なプロフィールを確認してみましょう!

• 女子栄養大学 栄養学部栄養学科卒業後
• 女子栄養大学 栄養科学研究所 栄養クリニックにて約7年間勤務
• その後 結婚~出産を機にパートタイムや非常勤の形で
• 「保健センターでの臨時職員及び栄養指導の受託」
• 「健保組合の保健事業の委託を受けた企業での保健指導業務」
• 「内科クリニックでの外来&在宅訪問栄養指導」
• 「居宅介護支援事業所での介護支援専門員業務」
• そして「農水省消費・安全局の食育担当課のアドバイザー」を歴任
• ほぼ同時期に女子栄養大学や栄養士養成専門学校での非常勤講師も担当する。

また、各業務で必要となる

• 「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「NR・サプリメントアドバイザー」
       「在宅訪問管理栄養士」「健康運動指導士」の資格も並行して取得。


これだけの経験と実績はなかなか得ることは出来ません。

一般的な「転職」を考えた時、数多くの職種を経験するということは「転職回数が多い」
と判断され、「この人は長続きしない人?」という印象を与えかねません。

しかし、「食」や「健康」が関わる分野は非常に多く、そのいずれにも対応出来る
ということは「栄養士の実力」は相当高いものだと言うことが出来ます。

そうした嶋田さんの「栄養士の実力」が「紹介してくれる人」を通じてしっかり
伝わって行くことで「紹介される」働き方が確立して行きました。


【第二部】の今回はその辺りの内容を中心に伺ってみました・・・

  • 麦島コンサルタントの質問に実感込めて答えて下さる嶋田先生

  • ご自分の「栄養士の基礎」作りになったノートを見ながらお話される嶋田先生

  • 江口先生の問いかけに笑顔で答える嶋田先生

◇女子大学栄養科学研究所実践栄養学部門栄養クリニックでの7年間で基礎作り!結婚~出産を機に「働き方」の転換へ

※今回も学習院女子大名誉教授の江口泰広氏とショクライフコンサルタント
麦島健生との対談形式でインタビューを行いました。
臨場感を大切にお届けしたいと考え、対談形式の構成となっております。〈編集部〉



✲嶋田先生)
実習がきっかけで栄養指導に興味を持ち、卒業研究は栄養クリニックで
減量と食行動の関係ついてまとめました。

そして卒業時に運よく栄養クリニックの求人があり、女子栄養大学に就職し、
栄養クリニックで7年間働いてきたんです。そして、結婚して出産して、
残念ながら常勤の仕事が出来ない状態になったので、一度退職して、
それからパートの仕事をしてきました。


✲江口先生)
そのパートの仕事ですけど、かなり多くの職に就かれてますよね。


✲ 嶋田先生)
そうなんです。一番初めの保健センターは、子どもの乳児健診に行ったとき、
丁度、管理栄養士さんが産休に入るということを知って、紹介してもらったのがきっかけでした。

その保健センターは期限付きの仕事でしたので、
その後の仕事は、大学の担任だった教授に紹介してもらいました。
健康保険組合から保健指導の委託を受けている会社にカウンセラー
として登録して、今でいう特定保健指導のようなものを電話で行う仕事でしたね。
「在宅で出来る仕事なので、子どもが小さいうちは丁度いいのでは?」と紹介されたんです。

栄養クリニックで栄養指導は行っていましたが、保健指導をするには勉強もしなくては、
と思い、栄養士会などの研修には積極的に参加しました。その後も多くの方に紹介して
いただき、色々な仕事を経験してきました。小学校の栄養職員の産休代替も受けました。

子どもが小さいうちは誰かの代替や短期の募集の職場が多かったんですね。
どこも週1〜2回くらいのお仕事でした。時間がありましたので、
アンチエイジングのクリニックではサプリメントを扱うためNR・サプリメントアドバイザー
の資格をとりました。内科のクリニックで在宅の患者さんの訪問をするようになった時は、
その機会に在宅訪問管理栄養士の資格を取得しました。
どうせ勉強するなら仕事に役立つ資格も取れた方が良いかな、と考えたんです。

大学の別の教授からの紹介で農林水産省消費・安全局の食育を担当している
部署でも仕事をさせていただきました。
丁度、厚生労働省と農林水産省が「食事バランスガイド」を作成し普及を始めた頃で、
その普及啓発に携わりました。また、食育推進の中で、味覚教育に関する情報も扱う
ようになり、「味わい教育」の勉強もしました。
その「味わい教育」で江口先生ともお会いしたんですよね。

◇「紹介される」理由

✲江口先生)
週に1〜2日のお仕事でも「仕事に責任を持つ」という意識と姿勢が
「資格取得」という行為に繋がり、確かな仕事ぶりが信用となり、
信頼関係の構築となって行ったのですね。


✲ 嶋田先生)
なるほど!私としては週に1日のお仕事でも「パート」という意識
では無くて「正職員」という意識で1つ1つ任された業務に取り組んでいました。

クリニックでの仕事は、本来の栄養指導業務だけでは勤務時間も勤務日も
少なかったんです。だから自分の専門職としての業務以外も率先してやって
いましたし、頼まれたことは全て手伝いました。
院長の書類作りや、とにかくなんでもお願いされたことはこなしてきました。

大学の先生とは卒業後も同窓会や研修などでつながっていたこともあり、
学部卒なので講義は担当できないのですが、実習なら可能ということで
非常勤講師として学生の教育の現場にも立たせていただきました。

短期のお仕事が入るとその都度、平行して勤務していた職場で勤務日を
調整していただいて、並行して様々なことを経験させていただきました。
とにかくお呼びがかかったところには何でもチャレンジしてきました。


✲江口先生)
紹介してもえるということが大切なんですよ。紹介を受けられるということが
すごいことなんですよ。きっと嶋田先生はお仕事中、ニコニコしているのだと
思いますよ。謙虚さもお持ちだったんでしょうね。

あとは、資格をもっていることですよね。資格は目に見える評価になりますからね。
努力をしてきたことが目に見える形にしていますからね。言葉ではなく、
謙虚な気持ちで取り組む「仕事に対する姿勢」が良かったんでしょうね。

また、嶋田先生は「気配り」を気にしておられるのかもしれないですね。
家族との関係や社会との関係も、気配りすることが身に付いているんでしょうね。
感謝する気持ちがあることも大切。人間性ですよね!声をかけてもらえる
ということは最高の仕事なんですよ。

自分からいくのではなく、人から紹介してもらえる人であること。
これは、大切ですよね!!週数日ずつ色々な仕事をされるっていう、
この働き方っていいかもね!


✲麦島コンサルタント)
そうですね。今は、なかなか週5日での勤務などを募集しても来ないんですよ。
意外と、週数日の仕事に応募が集中していたりしますね。
潜在的にそういう働き方は求められているのでしょうね。


✲江口先生)
専門職の人はパートでも働けますよね。資格を持っていますからね。
無い人は資格では働けないですからね。栄養士は専門家ですからね。
専門的なことをお伝えできる人は色々な仕事を複数することもできますよね。
自己投資をすることで、自分の結果につながりますからね。

嶋田先生は栄養士会の勉強会などにも参加したり、各資格は自費で
受けてらっしゃるんですよね。そのような自己投資をすることが結果に
表れてくると言うことはいつごろから気づきました?


✲ 嶋田先生)
声かけてもらえるから気づいたんですよね。
勉強しているから声かけてもらえているんだなって感じました。
勉強したり資格をとったりする中で、大学ともつながり、実習講師の
話もいただけたんだと思います。本当にありがたいです。


☆嶋田先生の【第二部】はここまで・・・

第二部では嶋田先生が「選ばれる」理由が浮き彫りになりました。
女性はどうしても「結婚」や「出産」で働き方を変えざるを得なくなる
ことが多いものです。

しかし、資格を持っていることで、そして働き方の意識をしっかり持つ
ことで自分の専門性を複数の職場で発揮させることが出来る働き方
が可能であることが分かります。

とは言っても、嶋田先生自身も自分が「選ばれる」ことを通して
「自己投資」しながら勉強を続けたり、業務に関連する資格の
取得に積極的に取り組んだり、頼まれたことは立場に関わらず
何でもこなしていく姿勢で仕事に臨んでいた自分の「働き方」の
特長に気がついたと言われます。

知らず知らずのうちにそうした働きぶりが出来るようになっていた
というのは、やはり学生時代の実習における動機付けと
その後7年間の栄養クリニックでの経験が大きかったのだと予測できます。

さて【第三部】では子育てが一段落した今、様々な経験を基に
管理栄養士として改めて「結果」にこだわって進んでいきたい
という内容についてお届けする予定です。どうぞご期待下さい。