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《栄養士☆成功事例インタビュー》管理栄養士 嶋田雅子さま④ ~「パート勤務の積み重ね」に見る「成長」と「成功」の秘訣~

2016年05月27日

栄養士☆成功事例インタビュー第3回目。
公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターにて研究員
としてご活躍されている管理栄養士の嶋田雅子さんの4回目(完結編)をお届けします。

3回目では子育てが一段落し、ライフステージがまた一段先に進んだ中で栄養士として
の「結実」を目指して動き出した現在の栄養士活動について語っていただきました。

4回目であり嶋田さんの「完結編」に当たる今回は、「今の仕事で実現したいこと」
からはじまり「栄養士として成長し続け、成功を掴んでいく秘訣とは何か?」について
3名が語り合います。その結果、辿り着いた意外な結論とは・・・。

改めて嶋田さんのプロフィールを確認して第四部(完結編)に入ってまいりましょう!

• 女子栄養大学 栄養学部栄養学科卒業後
• 女子栄養大学 栄養科学研究所 栄養クリニックにて約7年間勤務
• その後 結婚~出産を機にパートタイムや非常勤の形で
• 「保健センターでの臨時職員及び栄養指導の受託」
• 「健保組合の保健事業の委託を受けた企業での保健指導業務」
• 「内科クリニックでの外来&在宅訪問栄養指導」
• 「居宅介護支援事業所での介護支援専門員業務」
• そして「農林水産省消費・安全局の食育担当課のアドバイザー」を歴任
• ほぼ同時期に女子栄養大学や栄養士養成専門学校での非常勤講師も担当する。
また、各業務で必要となる
• 「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「NR・サプリメントアドバイザー」
「在宅訪問管理栄養士」「健康運動指導士」の資格も並行して取得。

◇「栄養士が働くことで生まれるメリット」を【見える化】して「栄養士が」活躍する場を増やしたい!

※今回も学習院女子大名誉教授の江口泰広氏と
ショクライフコンサルタント麦島健生との対談形式で
インタビューを行いました。
臨場感を大切にお届けしたいと考え、対談形式の
構成となっております。〈編集部〉


✲江口先生)
今、嶋田先生が「地域医療振興協会のヘルスプロモーション
研究センター・研究員」として、一番やりたいことは何ですか?


✲ 嶋田先生)
当協会は地域医療の充実と質の向上をめざして活動しており、
ヘルスプロモーション研究センターはその中でも特に予防の
分野を担当する役割を担っています。

地域で生活している人の健康づくりに、栄養士が活躍できる場をつくり、
栄養士が医療に関わるネットワークを充実させて行くマネジメントが
出来ればと考えています。

多くの診療所には栄養士がいないので、私たちの活動をみてもらって
「栄養士がいるっていいな」と思ってもらい、栄養士の雇用が増えること、
またその事がを雇うことが地域の健康づくりに大きく貢献できたら
良いと思っています。



✲麦島コンサルタント)
私達の生活には「食べる事」と関わりのある分野は本当に
幅広く存在します。そういう意味で、まだまだ栄養士が
必要される場所は多いはずですよね。


✲江口先生)
栄養士として働いていても「栄養士としての将来が見えにくい」
と言うことで悶々としている人も多いと聞きます。嶋田先生の様に
「栄養士が働く事のメリット」を仕事を通じて広く認識してもらうこと
はとても価値のあることですよね。

ところで、嶋田先生が仕事を選ぶ際に大切にしているものありますか?


✲ 嶋田先生)
「人と接点がある」お仕事であるということでしょうか?


✲江口先生)
なるほど!人と接点をもつことというのは、とても大切なことですよね。
どのようなことをしていても、人と接点を持てることは重要ですよね。
人とのつながりは大切ですからね。


✲麦島コンサルタント)
私からは「仕事探しの視点」から伺いたいのですが、
どのような観点でお仕事を選んでいるのでしょうか?


✲ 嶋田先生)
今までの自分を客観的に見てみると、雇用形態や分野は様々ですが
キーワードとしては「栄養指導とか相談」に関わる仕事してきました。
やはり「人とかかわる仕事」という観点で選んで来たと思います。

◇「成長」と「成功」と「評価」

✲江口先生)
「紹介を受ける人材になる」ということは「1つの成功の形」とも言えます。
自分から探さなくても紹介してもらえるということは「人間性」が評価
されているということですから、「人間としての成長」と「栄養士としての成功」を
得ていると言って良いのではないでしょうか。
『紹介を受ける人材になる』というのは「成長と成功の証」と言うことなんですね!


✲麦島コンサルタント)
「紹介を受ける人材になる」ということを嶋田先生は無意識のうちに
意識していたのだと感じます。「目先のことだけではなく、どんな仕事
でもきちんと責任をもって行う」と言う強い責任感を持って仕事に
取り組んできたから紹介を受ける人材になられたのだと思います。


✲ 嶋田先生)
以前ある職場で「非常勤やパートで仕事してきたとは思えない
仕事の仕方をしている」と言っていただいた事がありました。
私自身も立場に関わらず「責任をもって仕事をしてきた、」という
実感はあります。患者さんからみたら同じ専門家ですからね。


✲江口先生)
パートは、通常、ただの「作業」ですよね。
それを「仕事」にしていくということは強い意識と責任感が
無いと出来ないことです。

目の前の「仕事」を「生きがい」にすることで「作業」が
「仕事」になり、色々「楽しく仕事に取り組んでいる姿」は、
周りからは「成功している人」として映ります。


✲ 嶋田先生)
江口先生や栄養士の転職に17年も携わってきた麦島さんに
お話を聞いていただき、こんなに評価をいただけて、
もの凄く励みになりました。
これから、また頑張る意欲が湧いてきました!ありがとうございます!!

◇「知らないこと」や「新しいこと」への挑戦の連続が「新しい自分」を創りだす!

✲江口先生)
栄養士は沢山いますが、最近は、栄養士としての希望がなくなっ
てしまっている人も多くいると思うんです。何かアドバイスはありますでしょうか?


✲ 嶋田先生)
給食業務をやってきた人は栄養士として本当に強いと思うんです。
調理方法やボリュームのイメージも浮かびますしね。大根の一本の
使い切り方などの食材の使い方なども覚えますからね。
給食業務は、栄養士として重要な勉強ができると思うんですよね。

食は、食べてもらうことではじめて良い効果をもたらしますし、
美味しいと感じてもらえることが、身体のためになるんですよね。

野菜も特別な調理をしなくてもそのままでも美味しい物は沢山ありますし、
美味しいから食べる、それが身体にも良いものであることがてもらうという
ことか大切なんですね。「食」はシンプルに考える方が良いと思っています。


出来上がった「料理の味」から「食そのものの成り立ち」や「由来」
「食卓に並ぶまでの課程」などに興味を持たせ、あわせて栄養士
としての知識や情報を提供することで「食を選ぶ目」を育てることが
出来ます。

「美味しい物」を「美味しく味わってもらう技術」が身についている
栄養士は「知識」「情報」だけの栄養士よりも様々な「食」と「職」の
分野で活躍出来ると思います。


✲麦島コンサルタント)
栄養士の転職の現場に携わっていると「給食の現場」を嫌う人が
増えている様に感じます。しかし、「給食の現場」は栄養士の実力を
つけていくには重要な現場なんですね。

栄養士として「知識や情報を持っている」事にプラスして「調理ができること」
が備わると説得力が倍増しますよね。

栄養士としての実力を維持、向上させていく上で「情報収集」などの
「自己研鑚」は大切なことだと思います。嶋田先生はお忙しい中どの様に
情報収集やレベルアップの勉強をされてきたのでしょうか?


✲ 嶋田先生)
栄養士会や学会が主催するセミナーの情報をホームページや学会誌など
で情報を得て自分の仕事に直結するようなものに参加しています。
論文や書籍などから情報収集は出来ますが、気になる先生のお話を
直接聞くことができる講座や勉強会があれば積極的に参加するようにしています。
活字では理解しにくい「具体的な実践内容」を知ることが出来ますから。

それから「実践」の内容が入っているものにも良く参加するようにしています。
「調理の実践」や「運動の実習」などです。また、チーム医療として栄養士だけ
ではなく薬剤師、看護師、理学療法士などの他職種の方々と一緒に「食」について
考える講座にも参加するようにしています。外からの視点で、栄養士が
何をすれば良いか?刺激をもらえます。

最新のトピックスなどは、栄養士会や各種学会に所属すると会報誌や
学会誌から情報が得られるので良いと思いますね。


✲江口先生)
少し嶋田先生のこれまでのお仕事ぶりや自己研鑚の姿勢について
整理してみたいと思います。嶋田先生の様な取り組みを「知の探索」
と「知の進化」という言葉で表現できるんです。

これは組織論から発生していて、行動科学との連動なんです。

「知の探索」は様々な知の組み合わせにより新しい創造物ができる
ことを言います。違うものと違うものの組み合わせが重要なんです。
正に嶋田先生のこれまでのキャリアは「知の探索」ですね。
色々なことの経験と組み合わせで新しい「嶋田先生」が形作られて
きたと言えるでしょう。

管理栄養士・栄養士の多くは、勉強熱心なので「知の進化」は
起きているんです。ところがそれだけでは「知の探索」には
ならないんですね。ですので、「新しい自分」をなかなか創りだす
に至らないのかもしれません。「知の探索」は自ら新しいことに
挑戦していくことです。これは自分自身を成長させて行く挑戦とも
言えますね。そして、その先に「栄養士としての成功」にたどり着くわけですね。

嶋田先生はこれまで結果的にこのような「知の探索」行動を続けて
来られました。『栄養と名のつくお仕事』『人と接点があるお仕事』と
言う意識からの仕事選びの中で自分と違ったものと接点を持ち、
結果として視野を広げ自らを成長させて栄養士として1つの成功の
形を得るに至ったわけです。


✲ 嶋田先生)
確かに、こだわらないで色々なことをしてきましたね。


✲江口先生)
成功の条件の基本を嶋田さんはやってきたということなんです。
失敗と成功の論理と同様ですよね。
ロケットを上げた人とも一緒なんですよね。
何度も何度も打ち上げ、何度も失敗したことで成功に近くなる。
失敗と成功の定義はないんだけども、多くのことをやってみるということは成功につながる可能性は高いんですよね。
探索型行動は成功につながっているということなんですよね。
視野を広げることですよね。
成功を求めるのではなくプロセスが成功につながるんすよね。


✲ 嶋田先生)
《成功者のインタビュー》とご依頼いただいて、
「成功者ではないんだけどな」と抵抗を感じたんですよね。
パートしかしてきていない私でしたけど、沢山の経験が
成長と成功につながるということがお伝えできればと思っています。
「沢山の経験」は色々なことにつながっていくんです。


✲江口先生)
それがいいですよね。成功だと思っていないこと。結果的には成功なんですけどね。
「パートの積み重ねが成功のもと」これもいいかもしれないね。


✲ 嶋田先生)
パートを積み重ねることで色々な方とお会いする機会ができました。
関わる人も様々な方がいらっしゃいましたし、色々なことを選ばずに
やってきたことが良かったと思っています。


✲江口先生)
嶋田先生はエビデンス型ですね。是非、今後も一緒に頑張っていきましょう。

☆嶋田先生の全インタビューが完結しました!

全4回に渡ってお届けしました嶋田雅子先生の
《栄養士☆成功事例インタビュー》いかがでしたでしょうか?
嶋田先生は当初このインタビューのオファーに
「私が成功した栄養士?」「パート勤務の多かった自分がどうして?」
と思われたそうです。


そんな嶋田先生の働き方には職歴だけを一見しただけでは
分からない「成功」の秘訣が満載でした!!

ポイントとしては
①「なりたい栄養士像」を学生時代の早い段階で明確に持つことが出来た
②卒業後、最初に勤務した職場で栄養士としての基礎づくりがしっかり出来た
③ライフステージが変わっても栄養士として仕事に対する姿勢は変わらなかった
④立場に関わらず栄養士としての役割を全うしようとする責任ある働き方を続けた
⑤与えられた役割が果たせるように自己研鑚を惜しまなかった
などなどが挙げられます。

これらは誰でも意識と心がけ次第で実践できるものですから、
誰にとっても役立つ成功事例になったことと思います。
また、栄養士としての成功についてお話を伺いながら、
人間としての成長についても学ばせていただき今回も
得るものが多かった2時間でした。本当に有難うございました!!


この嶋田先生のお話ですが・・・
7月10日(日)『栄養士☆成功事例研究会』で直接ご本人から
聞くことが出来ることが決定しました!!
詳しくはショクライフの講座情報でお知らせいたしますのでご期待下さい。

インタビュー記事を読まれて、もっと色んなお話を聞きたくなった方々が
多くいらっしゃると思います。是非、『栄養士☆成功事例研究会』で
思う存分ご本人から聞いてみてください。