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《栄養士☆成功事例インタビュー》管理栄養士 杉本恵子さま “あなた(栄養士)自身”が【健康の発信基地(ヘルシーピット)!!】第四部

2016年09月30日
“あなた(栄養士)自身”が【健康の発信基地(ヘルシーピット)!!】
~栄養士の仕事がしたくなくて入社した『百貨店』が教えてくれた
「栄養士が必要とされる領域」と「活躍できる自分の磨き方」(第四部)~
栄養士☆成功事例インタビュー第4回目は株式会社ヘルシーピット代表取締役社長の杉本恵子さんの内容をお届けしております。第四部の今回が完結編となります。
第三部では杉本先生の現在のお仕事、株式会社ヘルシーピットの事業内容について伺いました。20年以上も前に「栄養士がもっともっと世の中に必要とされる時が来る」と確信し、その時の為に栄養士を再教育しつつ、1つ1つ事業を育てて来られた内容をお届けしました。
完結編となる今回は栄養士の職域や再教育にあたってのお考えお聞きしました。その内容には弊社の事業内容ともかなり共通点がありましたので、その辺りも含めてインタビュー全体のポイントを整理して締めくくりたいと思います。どうぞご期待下さい。
では、今回も改めて杉本先生のプロフィールを確認しておきましょう。
・相模女子大学食物科を卒業後、大手百貨店の健康管理室に勤務。
・栄養士として従業員の栄養相談・食事指導をしながら「健康プラザ」という売場づくりを成功へと導く。
・1991年、株式会社ヘルシーピットを設立し代表取締役に就任。
・「食事」「運動」「休養」の3点から、1人ひとりに適した健康づくりを提唱し実践している。
・その活動は、企業・健康保険組合が行う社員の健康づくりのコンサルティングやサポートを中心に、出版・新聞・雑誌などの執筆活動、全国各地での講演活動、ラジオ・テレビ出演など多岐にわたり活躍中。
・その中でも、誰でもが簡単に毎日実行できる栄養バランスのとり方を分りやすく解説した「杉本恵子の食材5色バランス健康法」が多くの方々から支持を獲得。
・また、健康で明るく生き生きと生活できる社会を目指し、全国の管理栄養士・栄養士の育成活動を推進している。日本クリエイティブダイエティシャン協会を設立し栄養士再教育をスタートしている。
◇栄養士としてはたらく上で大切なこと
※今回も学習院女子大名誉教授の江口泰広氏とショクライフコンサルタント麦島健生との対談形式でインタビューを行いました。臨場感を大切にお届けしたいと考え、対談形式の構成となっております。〈編集部〉
杉本先生:
大学で特別授業などもさせていただいているのですが・・・
学生に、「CAがみんな栄養士だったら?」とか聞いてみたりしますが、
そうすると大概の学生が「ポカーンとした顔をしています」
「CAのサービスとして長時間飛行機に乗っている時間に食事アドバイスしてもらえたらどうかしら?
他社には無い独自の顧客サービスになると思いませんか」
「フランスでの旅行はとても楽しみですね。ぜひ、おすすめしたいレストランがございます。とても美味しいですし健康的な食事です。○○○効果もございます。」
「パリシャルルドゴール空港まで10時間のフライトでございます。私は、栄養士でございます健康、特にお食事についてご相談がございましたらなんでもご質問くださいませ」
と言うようなサービスができたら、お客様としては嬉しいと思いませんか!
行き先に合わせた地域の食事と栄養と健康のサポートをしてもらえるサービスは、今まで聞いたことが無いと思います?こうした考えが栄養士の職域を広げていく上でとても大切なことだと思うので、講義で語りかけています。
要は栄養士として何をしたいのか?何が出来るのか?についてちゃんと考えているのか?ということですね・・・考えて求めていけば気がつくはずです。
そして、CA栄養士になろうと思ったとしたら「CA栄養士になるなら英語の勉強もしないといけないな」って気がついてそのための勉強に取り掛かると思うのです。
人の気持を考えて、相手の立場になって考えると「誰にとって、どんなサービスがあると良いのか?」がわかります。そうすると自分がどんな栄養士にならないと行けないのか?何を身につけておかなければいけないのか?が具体的に見えてくるはずです。
どこの大学を出たか?管理栄養士として病院で働いていたとか・・・・ではなく、どんなサービスが多くの方が喜ぶか、お幸せになるかと考えや意識を持って働くことの方が大切では無いでしょうか?
麦島コンサルタント:
たいていはなかなか自分では気づかないですよね・・・
先日、エステの業界の方とお話をする機会がありまして、話し込んで行くうちにそうした業界でも管理栄養士が活躍できるのでは?と考えるようになりました。とりわけ「リンパマッサージ」という技術を持っていると「排泄」についての知識とそれを促す技術が身につくわけですから管理栄養士として働く幅が広くなるわけです。
エステ業界だけでなく、医療に近い業界にも「排泄」という考え方は取り入れられています。発想を変えて働き方を変えれば職域というのはどんどん広がると思うんですね。
杉本先生:
そうですよね!
自分自身が「こんな働き方がしたい」ということよりもお客様の立場になって考えて「どんなサービスがあると喜んで下さるのかな?」と思いめぐらせば、色々な発想が浮かんでくるとは思いますが。悲しいかな栄養士さん達にはなかなか伝わりません。
弊社でもTBC東京ビューティーセンター(エステティックサロンの最大手)全国店舗の栄養相談を何十年も行ってきました。TBCとお仕事を行う様になってから東京や大阪の都会にいる栄養士では、日本国中の栄養相談は無理だとわかりました。日本は狭い島国ですが、食文化は世界中どの国より広いという事です。そこで私は、日本国中の栄養士さんとつながることが、弊社の事業を発展させることと地域の健康管理を促進させるには重要だと確信しました。TBCでも結果を残し多くのお客様からもご評価いただきました。
多くの栄養士さんは、管理栄養士の国家資格合格が夢と目標になっているからでしょう。弊社の社員で、大学は卒業生総代という優秀な成績でしたが、管理栄養士の試験に2回落ちたスタッフがいました。私は、彼女に伝えたのは「あなたは、これから先勉強しても管理栄養士の試験には合格しないからやめなさい。管理栄養士の資格で売り上げを上げられるのは、病院での栄養指導(医療点数)だけです。自分にしかできない給料を稼ぐ方法を考えましょう。あなたは栄養士としてではなく○○○さんとして、会社に何をして稼いでくれるの?これからあなたはどういう仕事がしたくてヘルシーピットにいるの?」とたずねました。
彼女の答えは「料理がしたい。料理本を出版したい」でした。それからというもの私のアシスタントで私にビシバシ扱かれ、今では、多くの出版の編集者から信頼を得て、弊社に依頼される出版・料理撮影などの仕事の中心人物です。管理栄養士を取る事ずっと夢見ていたら今の彼女はないでしょう。
「夢」が「目標」となり努力し「成長」「成功」に繋がっていった成功事例の一つです。
弊社はこの彼女のような事例ばかりです。
◇資格にあぐらをかいてはいけない!?
杉本先生:
ちょっと言葉は悪いですけど・・・
管理栄養士・栄養士は一度ボコボコにしないとダメですよね!!(笑)
「ボコボコにする」というのは「資格にあぐらをかいている自分をぶっ壊す」という意味で・・
栄養士さん達は世間の方々からどういう評価を得ているか全然わかっていません。資格は二の次です。
まずは社会性・人間性そしてやっと専門性が評価されるのです。栄養士さん達はまるで逆の考えで。
一番に専門性そして人間性・社会性となっています。これでは評価されるどころか嫌われてしまいます。
嫌われたら弊社の会社の存続すらありませんから、まずは社会性を磨き人間性を高めます。
弊社の社員は2度3度追い出されます。「出てけ!」という具合です。可愛い子には旅をさせる。谷に子を突き落とす。幸いなことに追い出されたスタッフが今や外部スタッフとして活躍しています。
とても有り難いといつも思っています。
そして私の口癖は「能ある鷹は爪隠す」「実った稲穂は頭が下がる」です。栄養士さんに身につけてほしい
と思います。
麦島コンサルタント:
これまで何人かの管理栄養士の先生がたに成功事例についてインタビューしてきましたが、皆さん管理栄養士の看板にこだわってらっしゃらない。栄養士としてのコンテンツは生かしているのですが、資格にあぐらをかいていないのでとても自由でフラットな発想をお持ちです。皆さん特長をお持ちで全く異なる分野でご活躍されているのですが、その部分は共通していると杉本先生のお話を伺いながら思い出しました。
江口先生:
社会は専門能力だけを求めているわけではないのですね。人間力という土台の上にある「専門能力」に期待しているのだと思います。「管理栄養士」という資格を手にすると「自分は専門能力を持った存在なのだ」と強く思い込んでしまうのかもしれませんね。
◇1万人の栄養士が成長・成功していけば日本は変わる
杉本先生:
今、私が強く思っていることは「日本全国の栄養士が成長し、成功を掴んでくれること」なんです。1万人の栄養士が成長し、成功してくれれば日本は変わると思います。いいえ!成功しなければ毎年毎年1兆円という医療費が使われ日本の国は病人天国と貧困国家になります。ミールクリニックは全国の栄養士さんと作り出す医療費削減の第1歩だと考えています。
だからこそ栄養士さんを教育する必要があります。社会性・人間性のない栄養士さんに指導されても改善はしません。それは栄養士さんにとっても良くないことです。お客様にとっても良くないことです。一朝一夕でできることではないですが、少しずつでも意欲的でチャレンジ精神のある栄養士さんと行動を起こさない成功はないと考えています。
聞いた話しなのですが、栄養士が食生活に関するコメントをして50円になるというお仕事があるのだそうです。色々相手を考えてコメントするには、情報収集から始まり、時間がかかります。テキトーなことをするには時間はかからないですが、しっかりしようとしたら時間がかかります。それに50円の価値とは・・・さらに、その方のサブになると30円になってしまうそうです。そんな価値。管理栄養士、栄養士の価値ってそんなものなの?と思うと怒りがこみ上げてきます。
麦島コンサルタント:
食は「当たり前のこと」という認識なのでしょうね、だから価値が低く設定されてしまう。「当たり前」のことでは無いですよね!「食は生命を育むものすごく大切なこと」という認識に変えていくことが大切ですね。
杉本先生:
管理栄養士は病院、保健所、学校にいることも大切かもしれないですけど、自分の能力を生かせるところを考え、独自の職域を創り、そこで活躍できる実力を持つ栄養士が増えれば世の中の認識を変えられると思います。そのためにもそうした栄養士を育てる環境が必要ですし、その環境が広がれば日本は本当に変わると思います。
栄養士地位向上は自分たちの手で勝ち取りましょう。
☆杉本先生の「完結編」は以上となります・・・(編集後記に代えて)
栄養士一人ひとりが【食と健康の発信基地】(ヘルシーピット)となれば今の日本の多くの健康に関する課題・問題は変わっていく!杉本先生の力強くそして着実に実行し実現させていくその姿にそう確信している自分自身が居ました。
ショクライフも栄養士の職域を広げ、イキイキと活躍される栄養士が増えて下さる事を願って転職・就業支援に取り組んでいます。そういう意味で杉本先生の志しとショクライフの目指す方向性に共通点がいくつもありました。
実は栄養士の数だけ職域というものが存在するのかもしれません・・・
栄養士一人一人がヘルシーピットとなって発信基地となれば、そこが既にその人にとっての職域なのだと言えるかもしれません。そこでイキイキと自分らしく、独自の成長戦略を持って世の中の方々に喜んでいただけるサービスを提供していく!その実現には一人ひとりの成長に対する意識と努力に関する変革が必要かもしれません。そしてそうした意思に応える「教育機関」の誕生も不可欠だと言えます。夢の様な未来像ではありますが、何となく実現しそうな感じがするのは、杉本先生の明るい笑顔と確信に満ちた表情のせいなのかもしれません。