ショクライフTOP > 栄養士の知恵袋 > 日本のこころ、和食の智恵シリーズ⑥~世界の食文化の背骨「地産地消(土産土法)」

日本のこころ、和食の智恵シリーズ⑥~世界の食文化の背骨「地産地消(土産土法)」

2015年04月03日

4月です(^^♪
桜も全国で開花&満開の知らせが入ってきていますね!!
セフティライフのオフィスがある自由が丘も既に満開♪
遊歩道はお花見の方々で平日のお昼から宴会ムードです^^;

日本は4月からが本当の新年と言う感じがしますね。
新しい年度に新しい挑戦が待っていることでしょう!春の息吹とともに
シフトチェンジして動き出しましょう。

さて、更新の期間が空いてしまいましたが・・・
《日本のこころ、和食の知恵》の今回は、和食を飛び越えて
世界の食文化の背骨とも土台とも言うべき『土産土法(どさんどほう)』
という考え方について書かせていただきます。

「地産地消」や「郷土料理」のルーツ、「土産土法」とは!?

『土産土法(どさんどほう)』という言葉をご存知でしょうか?

『土産土法』とは・・・
「その土地で採れた食材はその土地に伝わる食べ方で食べるのが
一番理にかなっている」という意味の言葉です。

つまり、「その土地の気候風土の中で採れるもの、育つものを、
食べやすい形で無駄なく食べる方法が人間にも自然にも良いんだよ」
と言う言葉です。

栄養学の世界からはちょっと飛躍してしまいますが・・・
かなり理にかなった考え方なので少し説明させて下さい。

ちょっと極端ではありますが、例を上げて説明してみますね。
日本の栄養学をベースに北極圏に住むイヌイットという民族の
食生活指導をするとどうなりますか?

イヌイット?エスキモーと言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。

日本とは気候風土が全く違います。基本的に農耕はできません。
入手できる食品は植物性のものはほとんど無く、海に住む動物ばかりです。
さて、日本人と同じような食生活指導はできるでしょうか?

土産土法と食文化

さて、北極圏に住んでいる彼らは日本の様に四季折々の食材を
栽培して育てることは不可能です。では、どうやって栄養バランス
を整えているのでしょうか?

現代では科学の進歩で若干食生活が変わってしまっているそうですが、
伝統的なイヌイットの食事とは魚をはじめとした海の動物を《まるごと》
いただく食生活を送っているのです。ほぼ100%動物性食品で食生活が
営まれているのです。

いわば、毎日肉と魚という動物性食品ばかりです。
しかし、日本人のような「生活習慣病」で病気になる人は少ないのです!!
どうしてでしょう?

食べ方の特長としては《ほぼ生》で食べる。そして、血液や内蔵も含めて
《余すところなく丸ごといただく》のがポイントです。

加熱をしていないので血液や内蔵に多く含まれているビタミンやミネラル類
が熱変性されずに摂取できます。また、生き物はすべて糖質・脂質・
タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を持って生きていますので
すべて丸ごと食べることによって必要な栄養素をすべて摂取することが
できるわけです。

その土地で採れる「食べ物」をその土地に伝わる食べ方で食べることで
イヌイットの方々は栄養バランスの整った食生活を営み、それが食文化
として定着しているのです。

知識と知恵の融合

《まるごと無駄なく食べる》という食の知恵は日本の和食の知恵にもありました。
この知恵は遠い北極に住む民族の生きる知恵にもなっていたのです!!

この様に、気候風土によって食べられる食材は変わりますが、その土地で
採れるものを「もったいない」の心で丸ごと、無駄なくいただくという知恵を
どの国もどの地域も変わらずに活用して生きる術を身につけてきました。

これが「食の知恵」です。この知恵を最新の科学や知識でバックアップして
より確かなものにしていくことで生活環境と食文化が守られ、同時に健康的な
生活も実現できるようになるのだと思います。

こうして知識と知恵を融合させることで一人でも多くの方々の食生活を
豊かなものにしていきたいものです。

和食は日本人のために、和食文化は世界に通じる

さて、こうして世界の食文化とその背骨となっている『土産土法』という
考え方を見てみると『日本のこころ、和食の知恵』というものが世界に
通じる文化だと思えてきます。

何故なら、日本は縦に長く四方を海で囲まれ、更に山や川がお多い
国土を持っています。そして、四季折々に季節がめぐるので日本の
どこかに行けば世界のどこかの気候風土を味わうことができる
とっても珍しい国の特徴を持っています。

日本の食文化は日本人が日本という国で生きていく上で必要で
効果的な食文化のはずです。戦後、知識の発達に伴い知恵を
軽視してきたのは否めない事実です。

世界に認められた和食文化をきっかけに今こそ知識と知恵を融合
させて世界に通じる和食文化を実践する日本人になる時が来たの
ではないでしょうか?

日本各地の食の知恵と知識があれば、世界で「食べること」に困っている
人々を助けることができるでしょう。何故なら日本の気候風土は世界の
縮図といえるからです。



現実として日本人も様々な健康の課題を抱えています。
この状況を『日本のこころ、和食の知恵』をうまく活用して早く改善し、
和食文化の知恵と知識で世界に貢献できる日本に早くなりたいものですね!!






☆さて今回で総論的なお話がおわりました。次回からは日本ならではの
季節感あふれる四季折々の和食の知恵や季節と連動した発酵食品や
乾物類の役割や特徴などを細かく見ながら、そこにある
『日本のこころ、和食の知恵』をお伝えしたいと思っています☆

ご期待下さい♪