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日本のこころ、和食の智恵 2-2 ~二十四節気の『夏』と『5月』について①~

2015年05月19日

皆さん、こんにちは。
和食の知恵を1300年使われてきた『季節』と『暮らし』の《目印》である
二十四節気と七十二候を参考に紐解いていく和食の知恵シリーズ2ndステージ。

まずは5月からはじまる日本の夏を日本人はどのような視点で捉え、
どの様に感じて《目印》として活用してきたのか?見てみたいと思います。

夏の二十四節気

二十四節気の『夏』は5、6、7月の3ヶ月。
5月は初夏
6月は仲夏
7月は晩夏
となり、二十四節気では
初夏の5月5日~20日頃を『立夏(りっか)』
5月21日~6月4日頃を『小満(しょうまん)』
仲夏の6月5日~20日頃を『芒種(ぼうしゅ)』
6月21日~7月6日頃を『夏至(げし)』
晩夏の7月7日~7月21日頃を『小暑(しょうしょ)』
7月22日~8月6日頃を『大暑(たいしょ)』
と目印の言葉を当ててあります。

では、5月の『立夏』と『小満』はどの様な季節なのでしょうか?

『立夏』 光風と呼ばれる爽やかな風が木々の間を吹き通る季節。
     新緑が深緑へと深さを増す時季。この頃から『夏』が始まります。
     夏至までの間、一年間で日照時間がどんどん長くなるこの時季。
     心身ともに軽快な動きになるのは太陽の光によって体内で作られる
     ビタミンDがカルシウムの吸収を助け、体調が整っていくから。
     健康管理のために旬の食材をたっぷりいただくことと、屋外で日光を
     浴びることが大切な季節となっています。

『小満』 「小満」とは万物が次第に長じて天地に満ち始めるという意味。
     蚕が眠りから目覚めて桑を食べ始め、麦の穂も伸び、麦刈や田植え
     の準備が忙しくなる時季。
     梅雨が大地を潤し始める頃であり、完全に夏の季節となります。
     爽快感に満ちて心も身体もフル稼働。仕事に勉学に励むことが出来ます。
     この時季の食材は疲労回復や体調を整えるビタミン類が豊富なものが多くなります。
     魚介類ではカツオ、野菜ではらっきょうやみょうがといった「薬味」になる
     食材が、そして果物では梅、メロン、さくらんぼなどなどビタミンの豊富な
     食材が私達の生活を支えてくれます。

夏の七十二候

◇「立夏(りっか)」の七十二候
初候:蛙始鳴(かわずはじめてなく)5月5日頃
次候:蚓出(みみずいずる)5月10日頃
末候:竹笋生(たけのこしょうず)5月15日頃


◇「小満(しょうまん)」の七十二候
初候:蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)5月21日頃
次候:紅花栄(べにばなさかう)5月26日頃
末候:麦秋至(むぎのときいたる)5月31日頃


◇「芒種(ぼうしゅ)」の七十二候
初候:蟷螂生(かまきりしょうず)6月5日頃
次候:腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)6月10日頃
末候:梅子黄(うめのみきばむ)6月15日頃


◇「夏至(げし)」の七十二候
初候:乃東枯(なつかれくさかるる)6月21日頃
次候:菖蒲華(あやめはなさく)6月26日頃
末候:半夏生(はんげしょうず)7月1日頃


◇「小暑(しょうしょ)」の七十二候
初候:温風至(あつかぜいたる)7月7日頃
次候:蓮始開(はすはじめてひらく)7月12日頃
末候:鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)7月17日頃


◇「大暑(たいしょ)」の七十二候
初候:桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)7月23日頃
次候:土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)7月28日頃
末候:大雨時行(たいうときどきふる)8月2日頃


5日単位で「季節」を表す七十二候は読んで字のごとく、どんな季節なのか?が一目瞭然です。
◯月△日と言われるよりも「今」がどの様な時季なのか?分かりやすいですよね。

次回からは月ごと、周ごとの「二十四節気」と「七十二候」を紐解きながら旬の食材や生きる知恵としての食生活、食文化、行事食などをピックアップして行きます。