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香川県の郷土料理「まんばのけんちゃん」 ─香川県─
2015年07月28日
故郷の懐かしい幼馴染のけんちゃん。ではなく、これは香川県の冬の常備菜でもある郷土料理「まんばのけんちゃん」です。「まんば」は、寒い冬に次々と濃い緑の大きな葉をつけ、貴重なビタミン、ミネラルの補給源となっていて学校給食にも登場します。
身体に染み渡るような滋味
この「まんば」というのは高菜の一種で万葉と書き、摘んでも摘んでも葉が出てくることからつけられたと言われていますが、西讃では「ひゃっか」とよばれています。
家庭菜園でもよく作られています。霜の降りる頃から3月までが最盛期で、路地ものが産直市場や八百屋で山盛りでも100円から200円と大変安価で手に入り、庶民の味となっています。
香川県は日本一小さな県ではありますが、豊かな恵みに囲まれています。昔より讃岐三白といわれる塩、砂糖、綿の特産品があり、漆器があり、食も瀬戸内海の海の幸や讃岐牛、讃岐夢豚、讃岐コーチンの讃岐三畜が有名です。
しかしながら最近まで、野菜の摂取量がワースト1という事態になっていました。そこで、今では県を挙げて野菜の摂取量を増やす努力がなされています。この「まんばのけんちゃん」は、冬の野菜不足を解消するのに一役買っています。緑の大きな固い葉にはビタミンAを始めビタミンK、葉酸が豊富に含まれ、カルシウムの量も牛乳に負けません。しかも油で調理されるので吸収がよいのです。
この「まんば」には独特のアクがあり、茹でこぼして水にさらすという手間が欠かせませんが、ほろ苦い、そして身体に染み渡るような滋味は、香川に帰るとやはり懐かしい人々と重なり必ず会いたくなる味なのです。
作り方~【材料】(2~3人分)
・まんば 6枚くらい
・木綿豆腐 半丁
・油揚げ 1枚
・醤油 大 2
・みりん 大 1
・酒 大 1
・いりこだし 1Cup
各家庭の味つけがバラエティに富んでいて、いりこをそのまま入れたりすることもあります。西讃地区では崩した豆腐の様から「ひゃっかの雪花」とも呼ばれています。
【作り方】
①まんばはたっぷりのお湯で茹でる。茹でることで独特の強いアクが抜ける。そのあと冷水でさらす。こうすると、まんばの美しい色がさえる。
よくまんばを絞り、食べやすく刻む。油揚げは油抜きして短冊切り。
②油大 1を鍋に熱し、下処理した、まんばを炒める。そこへ木綿豆腐を崩しながら入れ、更に油揚げも加える。
③酒、みりん、醤油、だし汁で味付けをし味を含ませる。