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海外の食育の取り組み

2015年09月24日

食育が注目されてから日本でもしばらくたちますが
「食育」は日本だけのものでしょうか。
調べてみると世界でも食育に関する取り組みは数多くされていることが
わかります。各国の食育の取り組みについて触れておくことで
自分自身の国でも、世界の成功事例を模範した素敵な活動ができそうです。
アジア圏を中心にどんな活動があるか見てみましょう。

シンガポールの取り組み

シンガポールでは、「健康なライフスタイルのためのプログラム」
(National Healthy Lifestyle Program)が政府によって進められています。
このプログラムでは、健康なライフスタイルの重要性の認識が高まるよう、
日常的な運動、健全な食事、禁煙、ストレス管理の4項目を、
毎年のキャンペーン等の活動を通じて促進しています

栄養分野では、フードピラミッドや指針が策定されていて
年代別、状況別に様々なプログラムが進められてます。

例えばレストランや屋台では、ヘルシーメニューを提供することに加え
「Ask for LessOil」などのラベル表示によって利用者が健康に良い
味付けを選択できるプログラムもあります。
また職場での取り組みとしては、「2+2 at Work」(毎日職場で果物2+2を
食べましょう)も効果を上げているようです。

そして、子どもの正しい食生活の確立を目指して進めらている取り組みとしては
小中学校では食堂や売店でヘルシーフードの提供があり、
それぞれ具体的なカリキュラムが示されています。

○ヘルシーフードガイドライン
1、100ml当たり8g以上の糖分を含む砂糖添加飲料の販売禁止
2、揚げ物と貯蔵肉を使った料理の販売は1週間に1回のみ
3、調理にはココナツミルクの代わりに牛乳を使うこと
4、調理には皮なし鶏肉や赤身の肉を使用すること
5、麺類やご飯ものの調理の際に推奨量の野菜を使用すること
6.毎日、少なくとも2種類の新鮮な果物を販売すること
7、(ご飯ものを売る屋台向け)ソース類は要望がなければかけないこと

このガイドラインは、大変きめ細かくそして具体的な設定に
子どもへの食育への取り組みの真剣さ伝わってきます。
具体性があればあるほど、指針が明確にはなるものの
逆にルールに縛られて実践ができない、というデメリットも出てきますが
子どもを取り巻く環境は今や大人と変わらず
何でも自由に手に入る時代です。
このくらい厳しく設定し、子どものいる環境・空間を正しい方向に
向ける、ということも時には必要なのだろうと感じます。

韓国の取り組み

韓国では、「身土不二」(しんどふじ)をスローガンとして
地産地消を推進する運動があります。
「身土不二」という用語は、日本でも身体と土とは密接不可分である、
身近なところで作られたものを食べることが良い、等の趣旨で用いられています。

この「身土不二」運動は、政府が推進した運動ではなく、
最初は日本で言う農協が掲げたスローガンで、マスコミや学校教育の場を通して、
韓国産農産物の積極的な購入と利用を呼びかける運動を展開したことにはじまります。
この取り組みが国民にも浸透し、その後も身土不二というスローガン
随所で用いられるようになった流れのようです。

この取り組みがうまく行った韓国ですが、韓国は実は世界有数の野菜の消費国です。
とにかく野菜をよく食べることで知られていますが
その消費量は日本の2倍以上、1日600g近くにもなります。
確かに韓国の食卓を思い出してみると、キムチはもちろん、
焼き肉を食べる時もサンチュやえごまを巻いて食べる習慣がありますね。

海外の成功事例をヒントに、私たちも有効な食育の取り組みを
ぜひ考えてみましょう。