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発酵食品のいろいろ
2016年02月25日
菌活ブームで注目を浴びた発酵食品。
日本には古くから発酵技術を使って、多くの食品が生み出されてきました。
発酵と言っても発酵に関わる微生物は「カビ」「酵母」「細菌」と
大きく3つに分けられます。
こういった発酵を行う微生物のことを総称して「発酵菌」と呼んだりするようです。
日本は発酵食品の宝庫
日本は世界でも有数の発酵大国と言われるくらい、発酵文化が発達しています。
発酵に必要な微生物は、水分や湿度があるところで繁殖するため
夏は高温多湿となる日本は、発酵には適した気候であることが言えます。
また発酵食品は地域の気候風土や、食文化を映し出している場合が多く
現在でも全国各地に伝統的な発酵食品が存在します。
地域によって様々な発酵食品文化があるのは日本のみならず
世界でも多種多様な発酵食品が生み出されています。
パン・チーズ・ヨーグルト・ワインなど、種類も豊富で星の数ほどありますよね。
日本で有名な発酵食品と言えば、納豆菌・乳酸菌が代表的な食品です。
ここでは代表的なこのふたつについて、詳しく見てみましょう!
最強の菌 納豆菌
日本人の食卓のお供である「納豆」
この納豆に使われる納豆菌は実は最強の菌とも言われています。
枯草菌という、主に稲わらや枯れ草に住むごくありふれた菌のグループの中の
ひとつが納豆菌です。
納豆1パックあたりに約500億個の納豆菌が存在すると言われていて、
納豆をよく見ると白い膜で覆われているのがわかると思いますが
この白い膜の中にいるのが納豆菌なのです!
また納豆菌が最強と言われる理由には
・熱に強い耐性があること(100℃の熱でも死滅せず120℃の熱が必要です)
・酸やアルカリにも強く、ph1.0~ph10.0の環境下で生き延びられる
これだけでも最強と言われる所以がわかりますが
さらにすごいのは、増えるスピードです。
30分おきに倍になるため、15時間後にはひとつの納豆菌が10億個にも増える
こととなります。
発酵の過程でビタミンB2、ビタミンK、ナットウキナーゼなどを作り出す為
原料である大豆を食べるよりも栄養豊富であることが言えます。
ビタミンB2は煮豆の6倍、ビタミンKは他の発酵食品の数百倍とされています。
余談ですが
筆者の知人に、生ものを食べて「ちょっと危ないな」と感じた時は
必ず納豆を食べる、という方がいました。
この方は納豆の力か定かではありませんが、お腹を壊したことが
人生で1度もないそうです。これも強力な納豆菌のおかげなのかもしれませんね。
加熱には注意 乳酸菌
以前、ホットヨーグルトがプチブームになってことがありましたが
ヨーグルトに含まれる乳酸菌を効率よく腸に届けるためには加熱のし過ぎは要注意です。
乳酸菌の耐熱温度は40度前後と、人肌程度までとされていて
60℃を超えると30分で死滅、100℃を超えると数秒で死滅すると言われています。
また乳酸菌にもビフィズス菌やカゼイ菌など株数は豊富で
日本で売られているヨーグルトの種類は、なんと7500種類にも上ります!!
商品によって入っている乳酸菌はさまざまですが、
乳酸菌も合う合わないがあるため、自分にピッタリな乳酸菌を探し当てるのは
至難の業ですが、1~2週間継続して食べて、体調の変化を見ながら
自分に合った乳酸菌を探しましょう。
また、乳酸菌は胃酸に弱く、腸に届くまでに死んでしまうものも
多いのですが、仮に死んでも善玉菌のエサになるので、無意味ではありません。
また脂肪分は悪玉菌の好物となるため、
脂肪分が多いものより、無脂肪のヨーグルトを選んだ方が腸内環境には
よさそうですね。
世界の発酵食品
日本と同様、世界中も発酵食品は存在します。
【韓国】
≪ホンオフェ≫
魚のエイの刺身から作る生食用の発酵食品のこと。
エイは自己消化の酵素の力が強く、捕獲して1時間後には強烈なアンモニア臭を
発しますが、ホンオフェは1~2週間熟成させたものです。
【アフリカ】
≪インジェラ≫
テフという穀類をすりつぶして水と混ぜ、発酵させて焼くクレープのようなもので
酸味が強い。
【イタリア】
≪アンチョビ≫
これは馴染みのある食品ですね。
イワシを塩漬けにして発酵させ、オリーブオイルで漬け込んだもの。
【ドイツ】
≪ザワークラフト≫
千切りにしたキャベツを塩漬けにして、乳酸発酵させたもので酸味が強い。
日本のみならず世界に広がる発酵食品。
発酵食品は健康によい、栄養価アップなど付加価値の高い食品として
近年注目され始めています。
食品のみならず医療品への応用など、発酵産業全体の市場規模は4兆とも5兆円
規模とも言われています。
今後の研究も目が離せませんね!