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見た目はイマイチ!?栃木県で愛された郷土料理とは~寒い時期恒例のしもつかれ~ ─栃木県─
2016年04月12日
【なんだかよくわからないこの煮物が、栃木県民に古くから愛されています】
栃木で古くから食べられている郷土料理「しもつかれ」を紹介したいと思います。
しもつかれは節分の豆まきが終わると残った大豆とお正月の新巻鮭の頭を使って作ります。大根・人参を鬼おろしでおろして、炒った大豆・新巻鮭の頭・酒粕と一緒に煮たものです。なんだかよくわからないこの煮物が、栃木県民に古くから愛されています。
※初午:2月最初の午(うま)の日に、わらをたばねて作った「わらづと」に入れて、赤飯といっしょに稲荷神社(いなりじんじゃ)にそなえる行事食です。(農林産省ホームページより)
名前の由来
「しもつかれ」の名前の由来は諸説ありますが、栃木は昔「下野:しもつけの国」と言われており、しもつけの国で作られていた料理なので、「しもつかれ」という名前になったという説が有力です。
しもつかれの栄養素について
ホントか嘘かはわかりませんが…「7軒の家で作られたしもつかれを食べると病気にならない!」なんて言われていたようです!!昔から栄養価が高い料理とされていたのでしょう。
確かに、私が子供の頃はご近所みんなしもつかれを作っていたようで、毎年複数のおうちからしもつかれが我が家にも集まってきたのを覚えています。
レシピは各ご家庭で違っており、各々自慢の味ですが材料はどのご家庭もだいたい一緒です。
栄養素ではビタミンD、B12が特に多く含まれています。
・ビタミンD
・・・カルシウムと一緒に摂取することでカルシュウムの吸収を助けてくれるビタミン
・ビタミンB12
・・・赤血球の生成を助けるため、貧血予防効果があるビタミン
新巻鮭の頭は、骨が柔らかくなるまで煮込んで全て食べますので、カルシウムも一緒に摂取できます。大根に豊富に含まれる食物繊維も、よく煮込まれて柔らかくなっているので摂取しやすいです。
欠かせない食材である酒粕には、食物繊維やビタミン類の他、レジスタントプロテインも含まれていることから、コレステロールを低下させる作用や肥満抑制の効果などが期待できます。
発酵食品である酒粕を使ったしもつかれ、栃木の人は今話題の「菌活」をいち早く取り入れていた!とも言えるのではないでしょうか。
栃木県学校給食あるある
毎年1度必ず学校給食にも、しもつかれが提供されます。しかし子供たちも大喜びかと言うと、そんなことはありません。大人たちが愛してやまない大好評のしもつかれですが、実は子供にはすこぶる不評なのです!!
給食にしもつかれが出る日は「最悪っ!」とさえ言われてしまいます。子供たちに好まれない理由は、独特の見た目と酒粕が入った味でしょう。まさに大人の味と言えます。
「しもつかれ」作り方
ここまで読んで、ぜひ作ってみたいという方もいるかもしれないので、レシピを載せておきました。ただ、本来各ご家庭で目分量で作るものですので、あくまでも参考程度としてください。
新巻鮭の塩分が強いので、調味料を使用しないのが一般的ですが、お好みで醤油や砂糖、お酢を加えるご家庭もあります。お好みの味になるように、鮭の量や酒粕の分量を調整してください。
余談ですが、私の祖父は『半分凍らせてシャリシャリになったしもつかれを食べるのが美味しい』と言っていました。昔の栃木はとても寒くて、大鍋で作ったしもつかれを縁側に置いておくと一晩で半分凍った状態になったそうです。
[材料・作り方]
新巻鮭の頭 1尾分
大根 2本
人参 5本
大豆 1カップ
酒粕 300g
①新巻鮭の頭を湯通しして、よく洗い臭みを取る
②大豆を炒る
③鍋に水と①と②を入れ鮭の骨が柔らかくなるまで煮る
④大根・人参を鬼おろしで摺りおろして③に加える
⑤④に酒粕をちぎりながら入れて酒粕が溶けるように煮込む
⑥冷まして完成
もっと手軽に手に入る方法
興味はあるけど、作るのは大変そう。めんどくさい。多くの方がこのように思いますよね。
そんなあなたも、安心してください。売ってますよ!栃木県にある道の駅や、スーパーでこのように販売しているところがあります!!
※全ての道の駅やスーパーで取り扱っているわけではありません。
もし、栃木に出かけることがあり運良くしもつかれを見かけた際は、買ってみてはいかがでしょうか。今では、栃木でもしもつかれを作る人が少なくなっています。若い世代ではつくらない家庭が増えています。でも、この郷土料理が永遠に栃木県民の食文化として受け継がれていくことを願っています。