CKDについて
2014年07月23日
CKDとは慢性に経過するすべての腎臓病の総称です。
現在、日本には約1,330万人のCKD患者がいるといわれています。これは、成人の約8人に1人にあたる数です。
最近の調査研究では、CKDが心血管障害(虚血性心臓病や脳卒中)の最大のリスク因子となっていることが明らかになってきました。いかにCKDを治療し、心血管疾患を予防するかが大きな問題となっています 。
【CKDの定義】
下記の1・2のいずれか、または、両方が3ヶ月以上持続する。
1 尿たんぱく陽性
2 腎機能が中程度以上低下した状態のいずれかが3ヶ月以上持続すること
GFR<60(ml/min/1.73m2)
<腎機能の指標としてのGFRの基礎知識>
GFR・・・1分間に糸球体で作られる濾液の量
そして体格の大きい人も小さい人も同じ基準で比較することが可能なように体表面積あたり1.73m2あたりに換算したものとして表現されます。(ml/min/1.73m2)
eGFR(男) = 194 * Scr^-1.094 * age^-0.287
eGFR(女) = eGFR(男) * 0.739
eGFR計算式は、日本腎臓学会プロジェクト「日本人のGFR推算式」より2008年3月に 出された新しい推算式です。
eGFR < 60 ml/min/1.73m2を腎機能低下と考えます。
【CKDの病態】
CKDの原因は透析導入原因からみると糖尿病による腎障害(糖尿病性腎症)で次いで慢性腎炎、腎硬化症(加齢、高血圧、脂質異常症などで動脈硬化が起こって腎臓が慢性的に虚血に陥り、線維化する病態)、多発性嚢胞腎(遺伝病)の順です。
特に糖尿病性腎症と腎硬化症による透析導入は毎年着実に増加しており、これらは生活習慣病の代表であるメタボリックシンドロームと多くの共通点を持っています。
~メタボリックシンドロームとの関連性~
メタボリックシンドロームのある人は、ない人に比べてCKDになる危険度は5年間で2倍近くになると言われており、生活習慣の是正がCKDの発生予防に重要です。
CKDの食事療法
<適正なエネルギー摂取量の検討>
エネルギー摂取量はすべてのCKDステージにおいて27~39Kcal/㎏/日とされています。
たんぱく質制限を適用する場合は、制限されたたんぱく質を無駄に燃焼させないために十分なエネルギー摂取が必要となります。
個々の患者について性別、年齢、身体活動レベル、病態、栄養状態などを考慮し、臨床経過を見ながら適正なエネルギー摂取量を調整することが必要です。
<たんぱく質の質的配慮>
たんぱく質は摂取量の制限が厳しくなるほど質への配慮が大切になります。
動たん比を60%以上にすることで、たんぱく質の質を良好に維持することが
できます。
<治療用特殊食品の利用>
たんぱく質を制限した上で、十分なエネルギーを摂取し、動たん比を60%以上にするためには低たんぱく質の治療用特殊食品の利用が不可欠となります。
特に主食に用いる通常食品を治療用特殊食品に置き換え、ここで減らした植物性たんぱく質分を肉・魚・卵・乳製品などの動物性たんぱく質で摂取することが出来ます。
たんぱく質の制限が厳しくなるほど、十分なエネルギーの確保と動たん比を確保することが難しくなりますが、主食に低たんぱく質食品や、でんぷん食品などの治療食品を用いることで動物性食品の制限が緩和され、ボリューム感のある食事が可能となります。