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伊勢志摩サミットの開催地 志摩市の郷土料理「てこね寿司」 ─三重県─

2016年05月10日

【「てこね寿司」地域から見える背景】

 サミットの開催地でもある志摩市のある伊勢志摩方面は「伊勢の名物~赤福餅はええじゃないか♪」の唄で知られる「赤福餅」や黒いタレが特徴の「伊勢うどん」の他にも、海の幸がおいしい伊勢志摩ならでの名物があります。その名も「てこね寿司」。今回は「てこね寿司」についてご紹介したいと思います。
 
志摩市は、海を背景にした漁師が集まる街としても知られている場所です。漁師たちは、朝早くから1日中船の上で慌しい生活を送ります。漁が忙しく、食事の時間も短縮したいという想いから、日持ちも良く料理の手間も省くために、醤油、かつお、酢飯を一緒に混ぜて作った即席の寿司が「てこね寿司」であり、漁師飯でもあります。

「てこね寿司」を栄養面からご紹介!

 「てこね寿司」は健康第一の漁師が考えただけあって、栄養バランスがとても整っているのが特徴です。かつおは、たんぱく質を豊富に含んでおり、血液や筋肉を作る役割とともに、皮膚や目を健康に保つ作用や免疫力アップに役立つビタミンA、体力面、精神面両方を健康に保つ作用や動脈硬化などの血液疾患やうつなどの精神疾患、貧血などを予防する働きのあるビタミンB群、骨粗鬆症を予防するビタミンDなどを多く含んでいます。また、魚特有の栄養素でもあるDHAやEPAも多く、生活習慣病などの予防にも役立ちます。

「てこね寿司」と私のエピソード

小さい頃から独身時代は常に家族や親戚と伊勢神宮へ参拝、初詣に行っていました。そして、昼食といえば「伊勢うどん」ではなく、いつもすし久の「てこね寿司」でした。そして私にとっては、その「てこね寿司」を食する時間が何よりも楽しみでした。
 「てこね寿司」は家庭でも手軽に作ることが出来ます。お祝いの席でも引き立つ料理ですので、お祝いの席ももちろん、日頃のご家庭の食卓でも是非作っていただきたいです。

「てこね寿司」 作り方

<材料(4人分)>
・かつお  1サク
・ご飯   3合 
・漬け汁  
しょうゆ 200cc
   砂糖   小さじ4
   みりん  小さじ1
・合わせ酢 
酢    大さじ4
   砂糖   小さじ1/2
   みりん  小さじ1
   昆布   少々
   塩    少々
・しょうが、しその葉、白ごま、三つ葉、 刻み海苔を各適量

<作り方>
1.下の7つの過程を順番に行う。
 ①漬け汁の材料を小さめの片手鍋に入れる。火にかけて砂糖を溶かしきり冷ましておく。
 ②合わせ酢を作る。材料を別の鍋に入れ、混ぜながらひと煮たちさせ、砂糖を溶かし冷まして昆布を取り出す。
 ③漬け汁のうち大さじ2くらいを②に回しいれる。
 ④炊き立てのご飯に③を回しかける。ご飯がべとつくことを防ぐために熱いうちにまわしかけるのがコツ。うちわで扇いで荒熱を取る。(寿司飯を作る要領と同じ)
 ⑤かつおは、刺身より薄めに切った後、①の漬け汁に漬けておく。
 ⑥しそは細かく千切りにし、しょうがも細かく切る。
 ⑦④の寿司飯が冷めたら、⑥と白ごまや細かく刻んだ三つ葉を混ぜる。量は好みによって調節する。
2.寿司飯を盛り付ける。お皿に盛っても、そのまま寿司台を器にしてもおしゃれ。
3.かつおを漬け汁から出し、汁を良く切る。寿司飯の上に盛り付ける。好みにより刻み海苔をのせる。