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家庭でできる簡単「豆みそ」 ─愛 知─ 

2016年08月09日


私の地元愛知では、豆みそを使った料理が多くあります。みそおでん、みそ煮込みうどん、みそ田楽、みそ土手煮などなどです。我が家では常に赤だしみそ汁、冬には3日に1度はみそ煮込みうどんを食べていたくらい頻繁に食べていました。東海地方出身の人で上京してすぐ豆みそが恋しくなって調達した人も少なくないと思います。

地元愛知の「豆みそ」


豆みその作り方は独特で米麹を使用せず、大豆、食塩、水のみを原料に長期間熟成して作られています。八丁みそ、三州みそ、名古屋みそ、赤みそなど様々な名称で呼ばれていますが、八丁みそと呼ばれる由縁には、徳川家康生誕の地、愛知県岡崎市の岡崎城から八丁(約900m)離れた八丁村(現在の八帖町)で作られたことがあるそうです。

東海地方では「豆みそ」を昔から作っています。今回はそんな東海地方の名物「豆みそ」と豆みそを使った料理について紹介したいと思います。

「豆みそ」の栄養と多彩な調理バリエーション


みその色が濃いのは、発酵熟成中に起こるメイラード反応が原因です。メイラード反応とは原料である大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐色に変化することを言います。熟成が進むにつれて色が濃くなっていきます。ですから、色が濃く辛そうに見えますが、色の割に甘く香ばしい味なのです。

米みそなどで作るみそ汁は、風味が飛んでしまうために沸騰前に火を止めますが、それとは対照的に、豆みそは煮込み料理によく使われることが特徴の一つです。これは、豆みそは旨味が豊富なため、煮込んでも風味が飛びにくいためです。

また、栄養素の観点からみると、主原料である大豆は、良質のタンパク質を含むことで知られています。大豆は発酵によって、アミノ酸やビタミン類などが大量に生成されます。大豆のタンパク質は酵素によって加水分解されて、約30%がアミノ酸になります。その中には生命維持に不可欠な必須アミノ酸が8種類すべて含まれているのです。

その他にも炭水化物、脂質、灰分、ビタミン、カリウム、マグネシウム、繊維類などたくさんの栄養素が含まれています。そして、数々の豆みそ料理の中でも、みそかつは人気の料理の一つです。甘くてこってりした濃厚なタレで食べるかつは、地元でも根強いファンが多く、また来訪者でも試してみたい味の一つなのでしょう。地元グルメ雑誌にはみそかつの店がいくつか登場しています。

みそだれは、かつにひたしても濃厚で美味しいし、ソースのようにさっとかけてもアクセントになって美味しいです。余ったみそだれを使って田楽やみそ煮込みうどんにしても楽しめます。この豆みそとみそだれですが、ご自宅で案外簡単に作ることができます。我が家でも実家の母が作った豆みそを送ってもらっていますが、家族に評判がよく、料理の汎用性も高いので重宝しています。ぜひ試してください。


「豆みそ」のレシピ


【豆みそのレシピ】
<材料(みそ3kg分)>
大豆 650g
生麹 1kg
塩  400g

<作り方>
1.大豆をボウルなどに入れてよく洗う。
2.1を3倍量(分量外)の水に18時間以上漬ける。
3.2の水を切って大鍋に移し、ひたひたの水(分量外)を加える。強火で噴きこぼれそうになったら弱火にして3時間ほど煮る。指でつまんで潰れるくらいの軟らかさが目安。
4.3を瓶などで潰す。
5.生麹と塩をよく混ぜる。
6.5に4を入れてよく混ぜる。
7.空気を抜くため6を適当な大きさに丸め、保存容器に拳で押し当てるようにして詰める。
8.7の表面を平にして、空気に触れないようにラップを敷き詰める。重しの重量がみそ全体にかかるように中ぶたを載せ600g程度(みその2〜3割の重さ)の重しをして、直射日光の当たらない場所で10 ヶ月保存する。重しは水を入れたペットボトルや本などでも代用可能。

※みそ本来の酸味や香ばしさがギュッとつまっています。大豆の形が少し残るので、みそ汁にすると、大豆のうまみが口の中に広がります。美味しさとともに手作りの優しさも感じられる味です。

【みそダレのレシピ】


<材料(2〜3人分)>
水    150cc
豆みそ  大さじ3
めんつゆ 大さじ1/2
砂糖   大さじ3
酒    大さじ1

<作り方>
1.鍋に材料全てを入れて、弱火で煮詰めながら混ぜます。
2.少しとろみがついてみそが完全に溶けたら出来上がりです。

※とろみのついたタレが良い場合、水の分量を減らしてください。
※鍋に焦げ付かないようにかきまぜてください。

【愛知名物みそかつ】
みそだれの鍋にかつを入れて衣にみそをしみ込ませて、ごはんにのせたら出来上がり。