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北海道の郷土料理「ちゃんちゃん焼き」─網 走─
2016年09月13日
網走といえば、網走刑務所を思い浮かべる方が多いでしょうか。そんな寒々しいイメージとは裏腹に、自然あふれる美しい街と言えます。
網走の暮らし
網走湖辺りの景色は、緑眩しい夏から、紅葉を経て、真っ白な氷上のわかさぎ釣りの風景まで、四季を通じて楽しめました。家の裏のオホーツク海につながる砂浜では、子供たちは夏でも唇を紫色にして遊んでいました。流氷が近づく頃は、寒さが一段と厳しくなります。その寒さがピークの2月、埠頭で開催される流氷祭りでの熱々の鉄砲汁(毛ガニの味噌汁)は、その時・その場所でしか味わえない美味しさです。
陶芸もさかんで、地元の山から掘り出した土とホタテやカキや海藻を釉薬にして、流氷をモチーフにした「流氷焼き」が有名です。「手工芸の館」では陶芸体験もできるので、手作りの器作りを体験してみるのも、旅のいい思い出になるかもしれませんね。
北海道は食料の宝庫
北海道の食料自給率は、カロリーベース・生産額ベースともに、200%を超えており、日本の重要な食糧基地です。しかも、旬の食材カレンダーを見ると、1年を通して魅力的な農産物や水産物が目白押し。アスパラガス・メロン・スイートコーン・ジャガイモ・かぼちゃ、キンキ・ししゃも・鮭・ホタテ・ウニ・北海シマエビ・毛ガニ・・・こんなリストをみると、炉辺で一杯飲みたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、この中から「鮭」について、お知らせしたいと思います。
鮭は実は白身魚
サーモンピンクと言うがごとく、鮭はオレンジがかったピンク色です。でも、その色は生まれつきではなく、そもそも白身が、食物連鎖によりピンク色になっているのです。
「鮭>オキアミ>藻」という食物連鎖の中で、藻の色素が鮭を赤くするのです。その赤色はアスタキサンチンと言われ、トマトやニンジンの赤と同じ仲間で、抗酸化作用があると言
われています。
私たちの体は、酸素と栄養素を取り込んで代謝しています。一部の酸素は、酸化力の強い活性酸素に変化します。酸化力が強い=殺菌作用が強い、つまり体内に入った細菌類を殺す役割を持っています。でも、暴飲暴食・喫煙・ストレスなどで増えすぎると、体の細胞を傷つけてしまいます。アスタキサンチンの抗酸化作用は、増えすぎた活性酸素を無毒化し、病気や老化から体を守ってくれるのです。
鮭の栄養
もちろん、鮭の有効成分はアスタキサンチンだけではありません。たんぱく質は、体の中で合成されない9種類の必須アミノ酸を全て含む100点満点のたんぱく質です。脂質には、認知症の予防に役立つDHAや、動脈硬化や血栓の予防に役立つEPAが多く含まれています。
そんな栄養価の高い「鮭」を使った北海道の郷土料理に「ちゃんちゃん焼き」があります。網走に住んでいた頃、地元の方に教わりました。漁師町で生まれた料理なので、レシは適当です。
美味しいいただきかた
【ちゃんちゃん焼き】
ホットプレートの上にキャベツ・玉ねぎ・人参・もやし・・・なんでもお好きな野菜を敷きます。個人的には、キャベツたっぷりがお薦めです。その上に鮭をのせます。大きさは、豪快に半身丸ごとでも、食べやすい一口大でもお好みでどうぞ。みそだれを回しかけて蒸し焼きにすれば出来上がりです。
【みそだれ】
みそ 200g 砂糖 50g
酒 50㏄ みりん 100㏄
このみそだれ、赤みそと白みそを混ぜたり、お好みでトマトジュース・豆板醤・おろしにんにく・しょうがなどでアレンジすることもできます。蒸しているうちに野菜の水分で薄まるので、「濃いかな。」というくらいで大丈夫です。最後に、お好みでバターを散らすとコクが出ます。
鮭は生に限るので、9月から11月の旬の時期にスーパーで生鮭を見つけたら是非作ってみてください!野菜を切って、みそだれをジップロックに入れてクーラーボックスで運べば、いつもと違ったアウトドア料理にもなります。実は、サンフランシスコに住んでいたとき、ビーチでのバーベキューに用意したら大好評でした。お魚メインのバーベキューは、とっても珍しがられました。外国のお客様のおもてなしでも、きっと喜ばれると思います。