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6月は食育月間

2014年07月23日

 6月は食育月間です。
 期間中は「食育」の周知と定着を図るため、日本各地で様々なイベントが行われています。

 日本では、平成12年に「食生活指針」が策定され、平成17年には食育基本法が成立し、様々な取り組みがなされるようになり、現在では食育が広く認知されるようになりました。

 このように食に関して見直される背景には、近年、国民の食生活をめぐる環境が大きく変化し、その影響が顕在化してきたことにあります。

 例えば、戦後のライフスタイルの変化、自給率の低下・BSEや食品の表示など食の安全・安心についてなどさまざまな「食」に関する問題が挙げられます。

 海外でも「食育」の活動が盛んに行なわれています。特に、学校教育での取り組みや地産地消についての活動が目立ち、世界各地でも「食」に対しての関心は高いようです。

 実際、海外ではどうのような取り組みがなされているのでしょう。

海外での食育の取り組み

<アメリカ合衆国>
 アメリカ合衆国では、政府などの支援により、学校昼食プログラム及び学校朝食プログラムなど、希望に応じて学校における昼食あるいは朝食の給食が行われています。
 また、食事・運動を通し、慢性疾患のリスクを下げるためのガイドラインとして、「アメリカ人のための食生活指針」が5年ごとに発表される健康増進の取り組みや、食に関する教育活動等が実施されています。

 日本でも定着し始めた「野菜・果物を1日5品目以上食べよう」のファイブ・ア・デイ運動や「消費者と地域の農家が協力して生産活動等を行う運動」など様々な取り組みが行なわれています。

 さらに食品安全教育の観点からも、「手や食器等をよく洗うこと」、「分離によって汚染を防止すること」、「適切な温度による調理」、「冷蔵」の4つの実践を中心とするキャンペーンも行われ「食」を多様な視点から捉えた取り組みがなされています。

<ヨ-ロッパ>
 イギリスでは、学校における健全な食生活の推進が進められ、政府により「健康な学校プログラム」などが行なわれています。
 また、アメリカ同様、ファイブ・ア・デイ運動も進められているほか、子どもの脂肪分・糖分・塩分の過剰摂取や肥満の増加に対応した子どもの健全な食生活を促すための行動計画も策定されています。

 さらに、食品、農場や農村等に焦点を当て、体験学習を学校教育の一環として
「育てる学校」プログラムが政府の支援により進められています。これらを受け入れる農場も多数存在しているようです。

 地域で作られた新鮮な農産物を地域で消費することで、地域経済の活性化も図るローカルフードという活動も見られます。

 イタリアでは、世界的に広がりを見せているスローフード運動があります。消えつつある郷土料理や質の良い食品を守り、質の良い素材を提供してくれる小生産者を守り、そして子どもたちを含め消費者全体に「味の教育」を進めることを目的として行なわれています。

<アジア>
 韓国でも、「身土不二」(しんどふじ)をスローガンとした地産地消を推進する運動があります。
これは、身体と土は密接不可分である、身近なところで作られたものを食べることが良い等の意味を持ちます。

 シンガポールでは、政府によって進められている「健康なライフスタイルのためのプログラム」があり、健康なライフスタイルの重要性の認識を高めることを目的に、次の4項目「日常的な運動・健全な食事・禁煙・ストレス管理」を掲げ毎年キャンペーン等が行なわれているようです。

日本の食生活指針

 食育を進める手立ての1つに、「食生活指針」があります。

 これは、食生活の改善に努める際にわかりやすい実践的な指針として平成12年3月に、農林水産省、文部科学省、厚生労働省の3省によって、決定された指針です。

1.食事を楽しみましょう。
2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
3.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
4.ごはんなどの穀類をしっかりと。
5.野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
6.食塩や脂肪は控えめに。
7.適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
8.食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
9.調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
10.自分の食生活を見直してみましょう。

諸外国でも食生活の指針が出されていて、たいへん興味深い内容です。
次回は諸外国の食生活の指針を取り上げる予定です。

参考:「海外の食育に関連する状況」/共生会社政策統括官 食育推進
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/index.html