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油脂類~調理の用途に合わせた油選び~
2014年07月23日
家庭でよく利用している油脂類(植物油・バター・マーガリン)の栄養価の特徴をまとめました。
≪脂質の種類≫
【飽和脂肪酸】
血中コレステロールを上昇させる働きがある。(動物油脂に多く含まれる)
【オレイン酸】
善玉コレステロールを下げずに、悪玉コレステロールだけを下げる。
【リノール酸】
血液中のコレステロールを下げる。
【α‐リノレン酸】
血液中のコレステロールを下げる。
【植物油・バター・マーガリン】の栄養価の特徴
日本の家庭では、植物油のナタネ油がもっとも多く利用されています。
≪植物油≫
【ナタネ】
ナタネ油は血中コレステロールを上昇させる働きがある飽和脂肪酸が主要な植物油脂の中ではもっとも少ないです。
以前は、大量に摂取すると心臓障害を起こすと言われるエルカ酸が含まれていましたが、現在流通している多くのものは品種改良が行なわれ、低エルカ酸の製品(カノーラ油)が主流となっています。
ナタネ油は加熱しても酸化しにくい特徴があり、サラダ油や天ぷら油として用いられています。
【オリーブ油】
新鮮なオリーブを原料として、特有の芳香をもつ未精製のヴァージンオイルと、無臭の精製したオイルとあります。
オリーブ油のオレイン酸は動脈硬化の原因と言われる血中の悪玉コレステロールだけを下げる効果があると注目を浴びています。
オリーブオイルの料理での活用は芳香を生かすことです。シンプルな味付けのアクセントとしてよく用いられています。(パスタやマリネ、サラダドレッシング等)
【バター】
バターは牛乳から分離したクリームを強くかきまぜ乳脂肪のかたまりをつくり、練り上げたものです。
バターは動物油脂を原料にしているため、飽和脂肪酸が多く含まれています。
バターの料理への活用はバターの風味生かすことです。炒め物や洋菓子等に用いられます。
【マーガリン】
マーガリンはバターの代用品として作られたもので、以前は動物油脂等を原料にしていましたが、現在は健康によいと言われる植物油脂原料のみのものが主流です。
風味ではバターに劣るものの利用のしやすさからさまざまな料理に用いられ、現在ではバターを上回る消費量があります。
マーガリンには、トランス脂肪酸という脂肪酸が含まれています。このトランス脂肪酸は長期間の過剰摂取により心臓疾患のリスクを高めるといわれています。
欧米諸国では、トランス脂肪酸の摂取量の多い食品中の含有量の表示を義務づけるなどの取り組みがなされていますが、トランス酸の摂取に関して、現在の日本人の食生活では問題はないと考えられいます。他の油脂類同様、適量範囲内を守り摂取しましょう。
1日大さじ1~2の適量を守りましょう
このように、普段使っている油脂類を個々に見ていくと身体に害する栄養素はありません。 しかし油脂(脂質)は1g当たり9kcalと最もエネルギーが高い栄養素です。
適量を守り上手に使えれば、健康維持に役立つ食品です。油脂類の1日の適量は大さじ1~2です。大量に使いがちなパンに塗るバターやマーガリンの量、揚げ物の摂取等、気をつけたいですね。
その他、よく目にする油脂類
【ベニバナ油】
リノール酸含有量は全食用油脂の中でも最も高く、健康への高まりから、近年は需要が大きくなってきました。ベニバナ油は酸化しやすいため、他の食用油脂と調合して使われることが多いです。
淡色でクセのない風味が特徴で、和風料理に適しています。
【ヒマワリ油】
世界的に使われている食用植物油脂で、日本ではリノール酸やビタミンE含有量の高い健康食品的な油脂として贈答用などにされています。
【グレープシード油】
ヨーロッパブドウの種子から採油した油です。オリーブ油ほどクセがなく、食材の持ち味を生かす油として、ドレッシングやマリネなどの生食の料理や、野菜や魚介類の炒め油、揚げ油としてよく利用されます。
<参考資料>
小学館 食材図典 Ⅱ(株)医歯薬出版 日本食品大事典