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スダチ・ユズ・カボスの健康効果
2014年08月07日
あるTVでこんな食品を紹介していました。
その番組のテーマは・・・
「旬のユズ・スダチ・カボスには健康効果がたくさんつまっていて、これらの柑橘類を丸ごと使って糖尿病を予防、血圧を安定させ、体から脂質を追い出そう」というものでした。
その番組内容をぱぱっとおさらいしてみましょう!
健康効果ポイント1
≪スダチで糖尿病を予防する≫
血糖値を下げる効果が最も高いのは
スダチの実(果汁)・種・皮のうち、どの部分?
A.正解は、『皮』
血糖値を下げると考えられるスダチチンなどは皮に多く含まれているので、皮ごとスライスして紅茶に入れて飲む事を紹介していました。
さらに、「酸味が苦手な人はスダチを蜂蜜に漬けたものでもよい。」って紹介していましたが、蜂蜜って血糖値あげちゃうよーな・・・・
でも、蜂蜜は25gで1単位。小さじ一杯0.3単位(7g)程度です。
じゃあスライスした1枚のスダチ漬け程度では問題なさそうですね。
スダチ紅茶もおいしそうでしたが、スライスしたスダチの1/4カットぐらいをお味噌汁に入れて食べるのもオススメです。
香りも良く季節感を感じれて、毎年秋には欠かせない一品です。
スダチは血糖値を下げる効果よりも香りを楽しみたいですね。
ところで、血糖値上昇を抑制する食品は紹介されたスダチだけではなく他にもありますが、ある一定の食品に頼るということはお勧めできませんね。
血糖値を上げないような食事のバランスや食べ方を紹介して下さいね。
ポイント2
≪ユズで血圧を安定させる≫
ユズにはヘスペリジンが含まれていて、活性酸素を撃退することで血管の収縮を防ぎ血圧を安定させる効果があります。
ユズは皮だけ使用することが多いが、ヘスペリジンは果肉・皮ともに同じくらい含まれているので、丸ごと使用するのを勧めていました。
ヘスペリジンは別名ビタミンPとも呼ばれていて、レモンの皮にも含まれています。
俗に「高血圧を予防する」、「ビタミンCの吸収をよくする」などと言われています。
紹介されたのは薄くスライスしたユズを入れたユズ水(ユズ1/2+水1杯)
朝晩コップ一杯ずつ飲むようにとの事でした。
今回紹介されていたのは、多量に摂取するわけではないし薬との相互作用も特に報告されていないようですが・・・
グレープフルーツジュースとCa拮抗剤などの血圧抑制剤との併用は注意が必要ですよね。
ポイント3
≪カボスで身体から脂質を排出する≫
カボスが脂質の吸収を抑え、脂質排泄量を増やすことで、特に肝臓に脂質が蓄積されるのを防ぐ効果が高いことが判り、
皮ごと刻んで一緒に煮て作る、カボス味噌が紹介されていました。
カボスに多く含まれるヘミセルロース(食物繊維)が排便を促すことで脂質排泄にもつながるということです。
しかし実際に成分を見てみると、カボス大1個に含まれる食物繊維は約4gです。
約4gと聞くと結構摂取できるように思いますが、カボス味噌を食べる量を考えると、あまり食物繊維の摂取に期待できそうにありませんよね。
つまり、野菜や海藻類などの方がもっと簡単により多く食物繊維を摂取することが可能なのは歴然です。
最後に
カボスだけをみてしまうと、みかんのようにたくさん食べれるものでもないし、カボスで食物繊維を期待するのは大変そうな気がしますね。
それに、いくら脂質排出を促進してくれるからと言っても、脂質の過剰摂取では意味がないことを忘れている人たちがいるかも・・・
やはり管理栄養士として最後にたどりつくのが、一つの食品に頼るのではなく、『何事もバランスよく食べる!』が大事!ということですよね。
日頃の栄養指導でもその「バランスよく」ということがどういう食生活なのかということを伝え、実践してもらえるよう指導・アドバイスしている私たち。情報に惑わされず、「個々に合った正しい食生活とは」を伝えていきたいですよね。