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チョコレートで本当に痩せるのか?

2014年08月12日

以前「Cacao〇%のチョコレート」が流行りましたね。
今では、コンビニやスーパーで必ず見かけるようになりました。
そして、「チョコレートダイエット」なんて言葉も耳にするようになり、
今やチョコレートは大人のお菓子になりつつあるような気がします。

チョコレートを食べて本当に痩せるのか?という疑問を食生活面もふまえて管理栄養士の視点からチェックしてみましょう。
チョコレートダイエットが流行り始めたのは、チョコレートに含まれているカカオにダイエット効果があるとの研究成果が発表されたことがきっかけとなりました。

チョコレートダイエットの実態

以前、チョコレートダイエットの実態を調査しているTV番組があり、その一部を取り上げてみました。
そのTV番組では実際に体験者300人を調査すると、ダイエット成功者よりも失敗して逆に太ってしまった人の方が多かったそうです。(TVの実験では成功4割:失敗6割)
ただし、体験者の1日の摂取エネルギー量や栄養分析は全く行なっておらず不明な点や疑問点が多くありました。
TVでは専門家7名に意見を聞いていました。

その中でもチョコレートダイエットに賛成4人。反対3人。
みなさんはどう思いますか?

チョコレートの主成分とその効果

チョコレートで痩せる?!というより、チョコレートに含まれるカカオの成分が「チョコレートダイエット」のキーワードになっています。
カカオ主成分
たんぱく質・脂質・食物繊維・カカオ・ポリフェノール・ビタミンA・E・カフェイン 等
中でも、カカオ・ポリフェノールに痩せる働きがあるそうです。
このカカオ・ポリフェノールの主な働きは、
・過食を抑える
・空腹感を抑える
・基礎代謝UP

カカオ・ポリフェノールがホルモンに作用することによって、「チョコレートダイエット」の効果が得られているようです。
カカオ及びカカオ・ポリフェノールにはダイエットに有用な効果が十分含まれていることは分かったが、なぜ高カロリーなチョコレートがダイエットに向くのでしょうか。

チョコレートダイエットを分析

そのTV番組ではダイエット成功者からいくつかの法則を見つけていました。
チョコレートダイエット成功の4つの鍵。
キーワード1 間食が好き!
キーワード2 40歳以上である!
キーワード3 男性より女性!
キーワード4 便秘気味である!

以上の4つのキーワードがダイエット成功には重要なようでした。
しかしちょっと待ってください!
このキーワードもすべてが納得できるものではないようです。
ここからは、キーワードの中の注意点を見ていきます。
【キーワード1】 間食が好き
成功者の76%を上回る人がもともと間食をしていました。
チョコレートを食べることにより、食欲が抑えられたと証言していましたが、中には間食だけで1日1,200kcalもの量を摂っていた人がいました。
この人が間食をチョコレートだけに変えて300kcalに抑えると、1日900kcalのカロリーダウンになります。これを毎日続けたとすると・・・普通に考えても1ヶ月で3.5kgは落ちます!
チョコレートに変えたことで間食の量を大幅に減らすことができた!と言いたいのかもしれませんが、これが果たして全て「カカオ・ポリフェノールの力!」って言えるのでしょうか・・・。
【キーワード2】 40歳以上である!
成功者の64%が40歳以上と中高年の割合が非常に高く、その原因として考えられるのは基礎代謝。
カカオポリフェノールに基礎代謝UP効果があり、もともと代謝が落ちている人ほど効果的だったと考えられているようでしたが、基礎代謝は測定するのもなかなか大掛かりなものです。しかも安静時代謝でなければ真の基礎代謝は分からないはず。
今回は基礎代謝の測定方法も明確にはされておらず一般に中高年の方が基礎代謝が低いから・・・という理由だけでは疑問が残ります。
【キーワード3】 男性より女性!
成功者の92%が女性の方。これもキーワード2と同じ理由で男性より女性のほうが基礎代謝が低いことが関係したのだと考えられていました。
しかし、キーワード2と同様にこれも疑問です。
さらに、失敗した男性の話では、元々甘いものが好きではないのにこのダイエットに挑戦し、失敗してしまった・・・との事。
普段から甘いものを好まない人が突然チョコレートダイエットに挑戦しても余計なカロリーを摂取してしまう為、カロリー過剰によりダイエットに失敗してしったのでしょう。
【キーワード4】 便秘気味である!
成功者の60%の人が便秘気味の人でした。
カカオに含まれる食物繊維で便秘解消!そして体重も落ちたというのですが、実験者が今までどの位の食物繊維を摂取していたのでしょうか。
ご飯をしっかり取り、1日350gの野菜を十分に摂取できていたのでしょうか。
1日350gの野菜(350g例:玉ねぎ30g、ニンジン50g、ホウレン草70g、キュウリ50g、トマト100g、ブロッコリー50g)を摂取していれば約7.6gの食物繊維が摂取できます。
TVではカカオ70%のチョコレート70gの食物繊維(5.5g)と同様なのはさつまいも1本+ごぼう1/3本+干しシイタケ4枚+こんにゃく1枚と紹介していました。
カロリーを比較すると、チョコレート490kcalに対し、上記野菜では約90kcalです。
これを考えると、野菜をたくさんとった方がビタミン・ミネラルも摂取できダイエットになるのは歴然ですよね。
ダイエット効果があるのは、カカオ豆の多い70%以上の成分が含まれているビターチョコで、カカオ70%以上のビターチョコを、1日50gまでを目安に食前に食べることが基本とされているようです。
しかし、それだけで350kcalあります。
パッケージにカカオ分の表示が明記されていないチョコレートはカカオ含有量20~60%と低く、その為、同量のカカオを摂取しようとするとカロリーオーバーになってしまいます。(100gで557kcalにも!!)
いくら甘いチョコレートを食べたところで、ダイエットになるハズがないですよね・・・
また、カカオがたくさん入っていれば間食をしても良いというわけではありません。
カカオ・ポリフェノールがたくさん入っていて食欲を抑制してくれるからといっても、チョコレートはチョコレート!やはりカロリーが気になります。

まとめ

単品ダイエットは管理栄養士としてはおすすめできません。
チョコレートでダイエット効果を期待するのではなく、やはり毎日バランスの良い食生活が大事です。
単品ダイエットは一時的に行い体重を落とすことには効果があるかもしれません。しかし長く単品ダイエットを続けることで、栄養不足になり生理がこなくなったり貧血や骨粗鬆症を引き起こすことも...。
1日3食おかずのある食事をしましょう。
ただ、頭からチョコレートを否定するのではなく、チョコレートが食べたくなった時は、カカオ分が多く含まれているものを選ぶ事をお勧めしてみてはいかがでしょうか。