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スタイル・フリー秋田の伝統食材

2014年08月27日

真夏のバーベキューでの出来事です。
 友人が持参してくれたのは、「きりたんぽ」※1暑さの中、野外で鍋料理?!と考えただけで、汗だくになるような食材に尻込みしたのですが、出来上がった料理は、私が想像した物とは全く違いました。
 きりたんぽの穴の中に、ウインナーを差し込み、こんがり焼いたら、チーズとケチャップをトッピング。その名も「きりたんぽドッグ」……きりたんぽといえば鍋!と疑わなかった私にとって、目からうろこの料理でした。
 これが意外とおいしいのです。外はカリっと、中はもっちりしたフィンガーフードとなり、子供たちに大人気でした。

※1「きりたんぽ」・・・ついて、潰した飯を、杉などの棒に円柱状に塗りつけて、炭火で焼いたもの。鶏肉やきのこ・ごぼう・せり・ねぎ等を一緒に、鶏ダシのしょうゆ汁で煮た「きりたんぽ鍋」が有名。

郷土料理が創作料理に

 さて、このアイディア料理を持ち込んだのは、秋田県には行ったこともないという東京在住の方。聞けば、きりたんぽファンで、鍋以外にも調理法はないかと考え出したそうです。

 秋田県出身の私ですが、居住地の東京で、秋田の伝統的な食材にバッタリ出合う機会が増えたように思います。
 ある料理店では、
「いぶりがっこ」※2が、クリームチーズと香草を乗せて、お洒落なオードブルとして登場し、お酒の進む素敵な時間を演出してくれました。
「稲庭うどん」※3も、グリーンカレー味のつけダレを使ったり……お店のメニューとして、斬新な工夫を凝らして出されているのを見かけます。
 秋田ならではの食材が、県外でも親しまれ、それぞれのお店のスタイルや、生活のシーンの中で、スタイルを変えてまで活かされているなんて、うれしく、誇らしいような気持ちになります。

※2「いぶりがっこ」・・・大根等を、いろりの上につるして燻製にしてから、たくあん漬けにした物。燻製独特の香り、コリコリとした食感がある。

※3「稲庭うどん」・・・湯沢市の稲庭町で、機械を一切使わない「手延べ製法」で造られる細打ちの乾麺。コシの強さ、茹で上がりの透明感、滑らかな舌触りが特徴。日本三大うどんの一つに数えられる。

秋田で味わう郷土料理

 春から秋は、季節の山菜、じゅんさい、とんぶり、きのこなどなど、大自然からの多くの恵みがいただけます。
 取れたてすぐを、美しい空気と共に、季節を感じながらいただくのは、残念ながら東京では味わえない素晴らしさがあります。冬の鍋、各家々が受け継いだ伝統の味の漬物も、その文化や人に触れることで、さらに深い味わいになります。
 お取り寄せで、自宅にいながら各地の食材が楽しめ、その地へ行った気分になれる、なんとも便利で幸せな昨今ですが、やはり、郷土料理とはその土地を訪れ、その土地の季節、空気、文化、人、すべてを、まるごと味わうのが本来であり、格別だとも感じます。

訪ねてたんせ(訪ねてみてください)!秋田県

 春は角館の桜祭り、夏は、大曲の花火、竿灯祭りなど、祭りシーズンの観光が人気で、県外から多くの人が訪れます。
 県外で秋田の食材に出合い、本場でも味わってみたいと思ったら、ぜひ、観光に出かけてみてはいかがでしょうか?
 地元では、県外の方に、より深く秋田を知ってもらおうと、現地の方が工夫し考えた、体験型の観光もあります。きりたんぽや、稲庭うどん作り体験、山菜採り、雪遊びなど、田舎の暮らしや、文化を、まるごと体験できる内容です。
 そこには、様々な発見や、驚きもあり、名所だけを巡るツアーとは違った出会いもあるのではないでしょうか。そのままの秋田を、取材モードで訪れるのも面白そうです。
 今回ご紹介した「きりたんぽ」「いぶりがっこ」「稲庭うどん」はネットでのお取り寄せサイトでも購入できます。ぜひ一度味わっていただきたい、伝統ある秋田の食材です。