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牛久沼とうな丼 ─茨城県牛久市─

2014年08月27日

「牛久沼には河童がござぁる~ 河童誰の 子 芋銭の子~♪」
 これは牛久かっぱ祭りで流れる「かっぱばやし」の一節です。茨城県牛久市には、世界一 大きな大仏「牛久大仏」のほかに、夏の一大イベント「牛久かっぱ祭り」があります。
 全国的に有名な祭りではありませんが、今年で 31回目となり、1Km程の道の両側に屋台が並び歩けないくらい大勢の人で賑わいます。
 芋銭とは小川芋銭という、牛久が生んだ画伯のことです。芋銭は牛久沼にある1本の老松を画題とし、牛久沼河童松として傑作の一つとなりました。ほかにも伝説の生物「河童」の絵も描いていたため、牛久沼には河童の像が建てられています。沼といえども、昔から釣りをしにくる人もいます。

うな丼の発祥

 牛久市はうなぎが名物ですが、牛久沼で 「うな丼」が誕生したというお話があります。江戸時代後期、牛久沼からは船が出ていて、船着き場には茶屋があり、食事でうなぎの蒲焼を提供していました。
 当時は蒲焼を皿に盛り、ご飯が茶碗で出てくるというのが一般的な食べ方でした。
 船着き場で船を待っていた大久保今助が、おいしそうな蒲焼の匂いに惹かれ注文し、食べようとしたところで出航の時間となり、とっさにご飯の上にうなぎを滑らせ、蒲焼が乗っていた皿をふたにして船に乗り込みました。
 船が着き、ふたを取ると勢いよく湯気が上がり、芳ばしい香りが...蒲焼が程良く蒸され、たれがご飯に染み込み、絶妙な一品となりました。
 その後、自分の芝居小屋でうな丼を販売し、やがて芝居につきものの重詰の代わりにうなぎとご飯を重箱に入れ、うな重となったそうです。
牛久市に遊びにいらした際は、牛久大仏や牛久シャトーも見ものですが、ぜひ牛久沼のうなぎ街道にもお立ち寄りください。

おいしいうなぎとは

 新鮮な魚は、天然ものの方が脂が乗っていておいしいと言われます。
 うなぎにも天然ものと養殖があり、旬の秋にとれる「下りうなぎ」は産卵前で脂が乗りコラーゲンが多く、繊細な味がします。しかし、他の時期の天然うなぎは、生育環境により千差万別です。環境が良ければ、あっさりと軟らかくなるそうですが、環境次第で脂が薄く身が硬い、長年泥の中に住んでいるので泥臭さが残る...など、個体差が出ます。それに対し、養殖うなぎは個体差がなく、栄養価の高い餌を与えられ、成長が早いので身が軟らかくなります。
 一概に天然ものがいいと言えないところが、うなぎの面白いところです。機会があればぜひ、味を比べてみてください。

うなぎと夏バテ

 旬は秋なのに、夏の「土用の丑の日」にうなぎが食されるのはどうしてでしょうか?
うなぎには、
・ビタミンA...皮膚・粘膜を保護し、抵抗力をつけてくれます。
・ビタミンB1...不足すると脚気や立ちくらみ、疲労感を引き起こします。
・ビタミンB2...成長に関係し、エネルギー代謝を助け、体調を整えてくれます。
・ビタミンE...細胞の老化を防ぎ、肌を健康に保ちます。
・ビタミンD...カルシウムの吸収を助けます。
・DHA...脳細胞を活性化し、ボケ防止に効果があります。
・EPA...コレステロールや中性脂肪などの予防に効果があります。
・その他、亜鉛・カルシウムなどのミネラル
といった栄養素が含まれ、ほかの魚や肉に比べ、疲れや風邪のときの体力消耗時、免疫 力が低下しているときに必要な栄養が豊富に含まれています。
 高カロリーで太りやすいのでは?と思う方もいると思いますが、うなぎ80g(蒲焼1枚)で235kcal、うな丼で約500kcalとほかの丼もの(天丼約650kcal、親子丼約670kcal)に比べ低カロリーなのです。
 また、肉の脂に比べ、不飽和脂肪酸が主となるので脂肪として体内に蓄積されにくく、血液サラサラ効果が期待できます。
 しかし、体内に蓄積される脂溶性ビタミン(A、E、D)やミネラルも豊富なため、疲れていると はいえ食べ過ぎは禁物です。

おすすめレシピうな玉丼(2人分)

<材料>
・うなぎの蒲焼 2串分(約160g)
・卵 3個
・蒲焼のたれ 大さじ1(調味用)+適宜(ご飯に欠けるよう)
・めんつゆ 大さじ2
・みりん 小さじ1

<作り方>
1. うなぎの蒲焼は串から外しておく。(少しレンジで温めると外しやすくなります)
2.フライパンに調味料を全て入れ、火にかけ温める。
3.一口大に切ったうなぎを入れ、少し煮たら卵を流し入れる。
4.丼にご飯を盛り、蒲焼のたれの残りをかけ、3を乗せる。
5.4にふた、もしくは平皿を乗せ、1~2分蒸す。
※小さいフライパンで1人分ずつ作ると、ご飯に乗せやすくなります。お好みで三つ葉を散らしてもおいしいです。