ショクライフTOP > 栄養士の知恵袋 > 南部地方の郷土料理 「そばかっけ」 ─青森県十和田市─
南部地方の郷土料理 「そばかっけ」 ─青森県十和田市─
2014年08月27日
三角形のそば?
私が18歳まで過ごした青森県十和田市を含む南部地方には、三角形のおそばがあります。その名も「そばかっけ」。そばは日本全国でおなじみですが、「そばかっけ」とは何でしょうか?
青森県南部地方について
「そばかっけ」の紹介の前に、「そばかっけ」が食べられている南部地方について、紹介します。
南部地方とは、青森県東部を指していう地域呼称で、現在の八戸市、十和田市、三沢市、上北郡、三戸郡を含む地域です。
南部地方は、夏にやませ(オホーツクから吹く冷たい東風)が吹き、稲作には非常に厳しい気象条件のため、かつてはそば・小麦が主食とされていました。そんな中から、そばかっけや小麦から作られる南部せんべいが生まれたのです。
さらに、私の出身地の十和田市を紹介させていただくと、観光地としては十和田湖・奥入瀬渓流が全国的に有名です。
最近では、2008年に開館した十和田市現代美術館が注目を集め、さらに食の分野では、B級グルメの十和田バラ焼きが知名度を上げています。 2010年12月には、新青森駅まで新幹線が延伸したのに伴い、七戸十和田駅が開業し、都心からの交通の便も良くなりました。
そばかっけとは
そばは皆さんご存じの蕎麦のことですが、「かっけ」とは何でしょうか? 「かっけ」とはそばの欠けら、端っこのことで、そばを切った切れ端を、貧しい庶民が食べたのが「そばかっけ」の始まりといわれています。別の由来とし て、「かぁけぇ」(南部地方の方言で「どうぞ召し上がってください」)と、もてなしの場で使われた言葉が何年か経つうちに「かっけ」と変化したという説もあります。
三角形に切ったそばかっけを、野菜と一緒にしゃぶしゃぶのようにだし汁でゆでて、にんにくみそをつけて食べるのが一般的です。みそは、ネギみそや生姜みそをつけることもあります。南部地方のスーパーではそばかっけが市販されています。そばが餃子の皮の形のようになっているとイメージしてもらえるとわかりやすいでしょうか。これを三角に切って使用します。
ちなみに私の実家では、しゃぶしゃぶのようにという上品な感じではなく、鶏肉と人参、ごぼうを入れたみそ汁にそばかっけを投入し、煮込んで食べる、というものでした。そばかっけ同士がくっついて食べにくいのですが、私にとっては懐かしい家庭の味です。
そばは一般的に細く切ったものを、つるつるといただき、のどごしを楽しみますが、そばかっけは三角形に切ることで、そばの味をよりしっかりと感じることができます。切り方・食べ方が違うことで、一般的なそばとは全く違う料理に仕上がっています。
そばかっけレシピ
<材料>
・そばかっけ...1袋
・水...3カップ
・大根...1/2本
・豆腐...1丁
・にんにく...1片
・みそ...大さじ3
・だし汁(昆布、干ししいたけ)
<作り方>
1.そばかっけを三角形に切る。
2.豆腐は一口大に切る。
3.鍋に昆布と干ししいたけを入れてだしを作る。
4.大根は輪切りにし、一度下ゆでしたものを3に入れる。
5.すり鉢にみそとにんにくを入れてよくすり、にんにくみそを作る。
6.3に1と2を入れて煮る。
7.5のみそをつけて食べる。
野菜は、ごぼう・白菜・人参など冷蔵庫にあるものを何でも入れて楽しむことができます。
栄養コメント
そばは、たんぱく質や食物繊維が豊富に含まれていて、アミノ酸のバランスも良く、栄養価の高い食品です。
また、そばに含まれるでんぷんは消化が良いのが特徴でもあります。
さらに疲労回復ビタミンと呼ばれるビタミンB1、栄養素の代謝を助け、成長、発育を促すビタミンB2、活性酸素を除去する酸化防止作用があるルチンを多く含みます。
そばかっけは、野菜と一緒にいただくので、野菜の栄養も同時に摂ることができ、バランスが良いメニューです。