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海産物の宝庫大船渡─岩手県大船渡市─
2014年08月27日
私の生まれ育った町、大船渡市は、三陸沿岸にあり、リアス式海岸を持つ非常に海産物に恵まれたところです。夏は涼しく、また、冬にはほとんど積雪が見られず、比較的温暖な心地の良い町です。なかでも、碁石海岸は「日本の渚百選」や「21世紀に引き継ぎたい日本の白砂青松百選」、「日本の音風景百選」に、五葉山県立自然公園は「21世紀に残したい日本の自然百選」にそれぞれ選定されています。
世界三大漁場
陸沖は、黒潮と親潮がぶつかるため、海産物が豊富で世界三大漁場としても有名です。私が知る中での大船渡の自慢できる食材と言えば、やはりサンマ、ワカメ、カキ、アワビです。
これは私も本当に大好きなもので、上京してからも、たびたび実家の母に送ってもらっていました。今までは当たり前に食べてきたものでした。
しかし、昨年の大震災により大船渡市は甚大な被害に見舞われました。私の大好きな町、食べ物が、あの大好きな海に奪われて行く様子は今でも目に焼き付いて離れません。でも今では、大船渡の人たちが復興に向けて続々と活気を取り戻し、大船渡の漁港も再開し始めています。私も微力ながら、大船渡の復興のお手伝いをしたいと思い、特産品を使った郷土料理を紹介したいと思います。
大船渡はサンマなしでは語れない
私が紹介する郷土料理は、「サンマのすり身汁」です。大船渡は日本でも有数のサンマの漁獲量を誇ります。大船渡はサンマなしでは語れません。サンマは大船渡の小中学校の給食でもよく使われ、その中でも私がよく食べていたのが、サンマのすり身汁でした。サンマには小骨が多くのどに引っかかりやすいため、苦手な人が多いかもしれません。すり身にすると小骨も粉砕され、ふわっとしてとても食べやすいです。
それではサンマにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。
サンマは必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、また貧血防止に効果のある鉄分や粘膜を丈夫にするビタミンA、骨や歯の健康に欠かせないカルシウムとその吸収を助けるビタミンDを多く含んでおり、成長期の子供や中高年の方々にぜひ食べていただきたい魚です。
また、近年注目されている不飽和脂肪酸の DHAやEPAが豊富に含まれています。EPAには血液をサラサラにする働きがあり、脳血栓や心筋梗塞などの血液が詰まってしまう病 気に効果的です。DHAには体内の悪玉コレステロール(LDL)を減らす作用があると同時に、脳細胞を活性化させ、頭の回転をよくする効果があります。そのため、脳の老化防止に効果的です。サンマが老若男女に万能な 魚だということがおわかりいただけたでしょうか。
サンマのすり身汁の作り方を紹介
<材料>5人分
サンマ 200g
おろし生姜 3g
みそ 小さじ1
だし 2,000ml
醤油 大さじ5・酒 大さじ1・塩 小さじ1/2
大根 200g・人参 50g・長ねぎ 30g
≪野菜は何を入れても大丈夫≫
<作り方>
1.サンマは皮を取り、三枚におろし、身をすり鉢でする。よくすれたら、おろし生姜、みそを入れてさらにすり、混ぜる。
2.野菜を適当な大きさに切っておく。
3.だしを入れた鍋にネギ以外の野菜を入れ、火が通るまで煮る。
4.3に醤油、酒、塩を入れて汁の味を調える。
5.1で作ったサンマのすり身をスプーンで一口サイズに丸めて投入する。長ネギも入れて、2分ほど煮れば、完成。
簡単に作れるので、ぜひ作って食べてみてください。とっても食べやすく、ほっこりする料理です。
最後に
ほかにも大船渡では、あずきばっと(お汁粉のうどんバージょん)やひっつみ汁(すい とんのようなもの)があります。岩手には、このように、小麦粉を練ったもの(ひっつみ、はっとなどと呼ばれる)の料理が各地にあるので、それぞれの味を楽しめます。
また、麺どころ岩手と言えば、盛岡冷麺、わんこそば、じゃじゃ麺が有名です。特に盛岡冷麺は全国に売られており、皆さんも一回はお目にされたことがあるかもしれません。
岩手の食材で、岩手の料理をぜひ食べてみてください。そして、岩手の復興に力を貸していただけたらなと思います。