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奄美大島の郷土料理「鶏飯」─奄美地方─
2014年08月27日
私の故郷・奄美大島は、鹿児島と沖縄のほぼ中間に位置し、亜熱帯植物が多い森とサンゴ礁が広がる海に囲まれた、自然豊かな島です。
梅雨が本土より1ヵ月も早いこと(5月 旬に始まり6月下旬に終わります)や台風の常襲地でもあることから、毎年その時期になるとお天気ニュースで取り上げられるので、一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
贅沢なロケーション
気候は年間を通して暖かく(亜熱帯海洋性 で年間平均気温は17℃前後)、日本の最南端、最北端に生息する貴重な固有種の野生生物も多く、「東洋のガラパゴス」ともいわれています。
お天気がいい日の海はエメラルドグリーンに光り輝いていて本当に綺麗で、放課後の友達との集合場所は海辺が定番となっていました。今思えば贅沢ですね。
暖かく、海が綺麗なことからマリンスポーツも盛んで、サーフボード持参の観光客の方をよく見かけます。ホテルによっては、目の前のビーチでバナナボートなども楽しむことができます。
数年前から豊富な自然を利用したトライアスロンも開催されていて奄美大島を訪れてくださる方が増えてきているようです。
鶏飯「けいはん」
そんな山と海に囲まれた奄美大島の郷土料理は、海の幸・山の幸の物と様々あり、どのお料理をご紹介しようか迷ったのですが、今回は私が一番好きな郷土料理「鶏飯」をご紹介したいと思います。
「鶏飯」という文字を見て、皆さんどのように読まれましたか?漢字だけを見ると「とりめし」と読まれるのが一般的で、鶏肉が入った釜めしや炊き込みご飯のようなお料理を想像されることが多いかと思いますが、奄美地方の郷土料理としての読み方は「けいはん」と読みます。
「けいはん」は、温かいごはんに鶏肉・熟していない青いパパイヤの漬物・錦糸玉子・青ネギなど数種類の具材をトッピングし、地鶏で取っただし汁をかけ た、鶏茶漬けのようなお料理です。
本当の地元の味は、奄美の地鶏1羽を2~3時間コトコト火にかけ、味濃いだし汁をとりますが、鶏1羽からだし汁を取るのは大変かと思いますので、今回は鶏ガラを使ったレシピにアレンジした物をご案内します。
是非一度チャレンジしてみてください。
鶏飯「けいはん」の栄養効果
このお料理は、本来地鶏1羽からおだしを取るので、だし汁にコラーゲンも含まれており、トッピングのみかんの皮やネギに含まれるビタミンCと一緒に摂ることで吸収もよいのではないかと思います。
また、他にも鶏肉や卵、干しシイタケな ど、たんぱく質や野菜系を1つのお料理で摂ることができ、栄養バランスもよいので食欲が落ちているときにもお勧めです。
私の母は 夏バテで食欲がなくなったときによく作ってくれました。
鶏飯レシピ
<材料>4~6人分
A.鶏ガラ 1羽分(地鶏のガラをお勧めします)
鶏モモ 1枚(300g位)
生姜 皮ごとスライスにしたもの3~4枚
昆布 1枚(5☓5cm位)
酒 100cc
水 2リットル
B.塩 小さじ2.5
薄口しょうゆ 大さじ1
※Aのだしでき上がり量1.5リットルとして
C.干しシイタケ 8~10枚
水 200cc
砂糖 小さし2
濃口しょうゆ 小さじ2
D.卵 3個
油 適量
【薬味】
万能ネギ 6本
奈良漬 50g前後
陳皮 適量(なければオレンジピールでも可)
ワサビ 適量
海苔 適量
<作り方>
1.Aの鶏ガラは、サッと洗い血合い等を取り除き、その他のAの材料と一緒に鍋に入れ強 火にかける。沸騰しあくが出てきたら少し火を弱め、あくを取り除く。
2.あくを取り終えたら食材が少し動く程度まで火を弱め、1時間ほど火にかける。鶏ガラ、モモ肉、生姜を取り出し、鍋にBを加えて調味する。
※薄口しょうゆがない場合は、塩の量を少し増やして濃口しょうゆで調味いただいても結構です。
3.2で取り出したモモ肉は皮を除き、身を細くさく。
4.Cの干しシイタケは水で戻し石付きを取り、戻し汁ごと火にかけ一沸かしさせてあくを取り、調味料を加え煮汁がほぼなくなるまで中火~弱火で火にかけ、冷めたら千切りにする。
5.Dの卵は薄焼きにし、細く刻んで錦糸玉子にする。
6.薬味の万能ネギは小口切り、奈良漬とみかんの皮はそれぞれみじん切りにし、海苔は細かくちぎっておく。
7.器にごはんを盛り、3~6の具と薬味をトッピングし熱く熱した2のおだしをかけてでき上がり。