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大阪風ふわふわお好み焼き─大阪府─

2014年08月28日

 関西のお好み焼き屋にはご飯を添える「お好み焼き定食」を出す店もあるほど、お好み焼きをご飯のおかずとする人が多いのが大阪の特徴。お好み焼きは、大阪ではとても利用価値の高い食べ物です。
 先日、「お好み焼きはおやつ感覚で食べるもの」と他県の方が言われているのを聞きましたが、大阪では昼食・夕食のメニューとして食卓にでることが多くあります。お好み焼きは、現在では、庶民の食べ物の代表選手みたいになっていますが、元々は違ったようです。

お好み焼きのルーツ

 ここからお好み焼きのルーツについて少しご紹介します。
 安土桃山時代に千利休という人が麩を焼いたものを茶懐石に用い、それが今のお好み焼きのルーツではないかといわれています。
 これは、小麦粉を水で溶き、焼き網の上に薄く伸ばして焼いて、サンショウ入りの味噌を塗ってグルグル巻きにしたもので“麩の焼”といわれます。“麩の焼”がルーツとなり、江戸時代に“文字焼き”という、溶いた小麦粉を鉄板や鋳物鍋に流し込んで、焼いて食べるという習慣が庶民の間に広まりました。

変化を遂げたお好み焼き

 そしていろいろな具材、調味料が調えられた、“どんどん焼き”が広まりました。“どんどん焼き”が東京から大阪に伝えられ、大阪に入ってきてからは、具の種類が豊富になっていきました。独特の甘いソースが作られ、気軽な雰囲気で楽しむようになりました。とにかく安くておいしくてボリュームがあり、大阪の人に大いに受け入れられました。大阪では戦前から屋台がよく見られ、“洋食焼き”が庶民の食べ物になっていきました。
 当時は、1枚1銭で売られていため、“一銭洋食”とも呼ばれ、以来、大阪の小麦粉文化は途絶えることなく、庶民の味として根づいてきました。 戦後、肉は貴重品だったので、キャベツなどの野菜、イカなどの海産物を混ぜて焼くことが多くなり、今のお好み焼きのスタイルに近づいてきたようです。
 呼び名、“洋食焼き”や“一銭焼き”から、好みの材料をのせて焼くという意味の“お好み焼き”へと変わり、女性や子供のおやつというイメージから、より大衆向けの味へと進化してきました。
 そして、食料難の時代が終わり、飽食の時代といわれる現在にいたるまで、お好み焼きは大阪を代表する味として、多くの人たちから愛されています。

母の“お好み”

 先日、久々に実家に帰ると、晩ご飯にお好み焼きがでてきました。母の作る“お好み”は最高。補足しますが、関西ではお好み焼きを“お好み”と表現します。特大サイズの“お好み”を食べながら、「育ち盛りの娘じゃないんだから・・・」と思いながらもいつの間にか食べ終えていました。
 母の“お好み”は自分で焼く“お好み”とは比べ物にならないくらい美味しかったです。具材が豪華などの違いもありますが、母の愛情がたっぷり入っているからでしょうか。

お好み焼きの栄養価

 昔、学校の先生からお好み焼きはバランス栄養食と教えられました。小麦粉が材料の主体となっていることから、腹持ちもよく、1日3食のうちの1食をお好み焼きにすれば、適正なカロリーを摂取できるといいます。
 小麦粉には、私たちの体をつくる源となる炭水化物やたんぱく質が含まれています。
 炭水化物は活動のためのエネルギーとなり、たんぱく質は血や筋肉を作り出してくれる大切な栄養素です。

 1枚のお好み焼きには、いろいろな材料が使われます。キャベツやヤマイモに代表される野菜、肉や魚類、それに卵も。
 まず肉や魚類、卵には良質なたんぱく質や脂質、ビタミンBなどの栄養素が含まれています。
 キャベツに含まれるビタミンUは胃壁の粘膜を丈夫にし、ダメージを受けた胃壁の回復を助けるといわれます。
 生地に入るヤマイモの独特のネバネバした成分は、血糖値を下げ、糖尿病の改善にも役立つといわれています。

 健康をサポートしてくれる頼もしい食材ばかりで、同じ小麦粉を原料とするパンや麺類だけでは栄養が偏ってしまいますが、お好み焼きはいろいろな具と一緒に食べることができるので、栄養素をバランスよく補うことができます。
 忙しい私たち現代人には、うってつけの食事ということができるでしょう。ぜひ皆さんもご家庭で作ってみてください。