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郷土料理「美び酒しゅ鍋なべ」─広島県─
2014年08月29日
私が生まれ育った広島県は中国地方の中央に位置し、中国山脈の山々と、穏やかな瀬戸内の海に囲まれた、とても住み易い所です。
山と海に囲まれた地形から、水が綺麗で、魚介類が美味しい!ということを、地元を離れて改めて気付かされました。
酒祭り
広島市内から東側山寄りの場所に、東広島市があります。
東広島市の中心部である西条駅。ここは、西条駅周辺に8社の酒元が連なっており、酒蔵通りとして有名です。
西条では毎年10月第2土曜・日曜の二日間で、「酒祭り」が開催されます。
このお祭りでは「酒ひろば」という会場で全都道府県の日本酒が呑み放題! (有料です)や、「酒蔵見学」での試飲会、「メイン会場」でのライブ等多数のイベントが行われ、毎年20万人ほどの人が訪れるのですが、メイン会場の隣に「美酒鍋会場」という会場が設けられ、そこで東広島の郷土料理である「美
酒鍋」が振舞われます。
「美酒鍋」とは・・・
東広島西条地域で作られる、日本酒を使った宴会料理で、塩とコショウとお酒だけで味付けするシンプルな鍋料理です。
ただし「鍋」とはいうものの、調理には深めの鉄板を用いることが多く、汁気をほとんど出さない「炒り煮」状態で食べる料理となっています。調理の途中で普段は飲んでいる日本酒を惜しみなく使いますが、アルコール分が抜けて酒のうまみだけが残るため、酒の飲めない人や子供でも食べられます。
それだけに、良い酒、良い素材がその味を決めます。蔵人のまかない料理として親しまれ、酒造りの作業の合間に食べても利き酒などに影響が出ないように、あっさりとした味付けとなっています。
作業服がビショビショになることが多いことから、蔵人のことを「びしょ」といい、その蔵人が食べることから「びしょ鍋」と呼ばれるようになったと言われています。
現在では、「びしょ」を「美酒(びしゅ)」と語呂良く読ませています。
美酒鍋のレシピ
【材料 5人分】
豚バラ肉・・・500g
厚揚げ ・・・2枚
鶏肉 ・・・500g
ピーマン・・・2袋
砂ずり(砂肝、鶏の心臓)・・・500g
白ねぎ ・・・3本
白菜 ・・・1/2
玉ねぎ ・・・2個
こんにゃく・・2枚
椎茸 ・・・2袋
人参 ・・・1本
その他(厚揚げ、油揚げなど好みに応じて)
にんにくスライス・・・少々
清酒 ・・・少々(料理酒ではイマイチです)
油 ・・・少々
塩 ・・・少々
コショウ・・・少々(たっぷり入れるのがコツ)
【作り方】
1.鍋を温め、油をひく。
2.にんにくのスライスを入れ、香りが出たら豚バラ肉を入れて炒める。
3.鶏肉を入れる。
4.砂ずりを入れる。
5.野菜、こんにゃく、シイタケなどを入れる。鍋底が見えなくなるくらいでやめておく。
6.塩、コショウを適量入れ、炒める。
7.清酒をたっぷり入れる。(具材が浸るまでは入れない)
8.試食して味が薄かったら塩、コショウを、濃ければ清酒を加える。
9.野菜がしんなりしたら完成。煮込んではいけない。
(好みにあわせてコショウをふって食べる)
10.焦げ付くようなら清酒を入れる。
11.一度に全部作るのではなく、中身を全部食べた後に、もう一度最初から作る。お酒の旨みと、にんにくが決め手で、体の芯まで温まります。熱い場合は、生卵を絡めて食べても美味しいです。