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今話題の新型栄養失調とは?
2014年09月26日
栄養失調と言えば、食べるもの自体が不足していた戦後に
多く見られました。この時代は食糧そのものが不足していたので
必要な栄養素を食事で満たせないために起こる『栄養失調』でした。
これは当たり前の現象です。
ですが、最近問題とされているのは
しっかり食べているのに栄養が慢性的に足りない状態の『新型栄養失調』が
特に高齢のお年寄りの間で問題視されています。
食事を食べているのに栄養失調になるとは
どういったことなのでしょうか?
増える新型栄養失調と低栄養予備軍
食べているのに栄養が足りない。
これは高齢者特有の食環境や、生活習慣によるものが大きいと考えられています。
・1日3食を食べていたとしても、好きなものばかり食べている(偏りがある)
・いつも同じ食材やメニュー
・独居のため毎回簡単な食事で済ませてしまう
・活動量が減ったためお腹が減らず食事量が少ない
・間食ばかりして肝心な食事が食べられなくなる
・胃がもたれるので肉は避け、野菜などの粗食を好むようになる
など、食べているつもりでも食事の質を見てみると
使用食材の量が極端に少なかったり、同じものばかりを好んで食べていたりと、
栄養が偏っている食習慣になっている、ということが多く見受けられるのです。
こういった高齢者を取り巻く様々な環境要因により
食べているけれども、栄養が全く足りていない(偏っている)状態の
『新型栄養失調』の高齢者が多数いることがわかってきています。
高齢期の食事のポイント
まず高齢期の栄養のポイントは『たんぱく質』。
老化をするということは、体のたんぱく質が減っていく変化です。
高齢期の健康づくりの目的は、病気などの疾病予防だけではなく
いかに老化を遅らせることができるかが鍵なのです。
老化は誰も止めることができない自然な現象ですが、
老化のスピードはその人の日々の生活習慣で大きく変わってきます。
高齢期はこの老化のスピードをいかに遅くするか?が最大のポイントになり
その老化を遅らせるためには、何よりも食生活がカギを握っているのです。
高齢期の食事のポイントとしては、
たんぱく質を中心にした『しっかり食べ』と
バランスを整える『いろいろ食べ』がポイントです。
下記の10食品群は、高齢期に特にしっかり食べてもらいたい食品群として
10食品群チェックシートとして活用されているものです。
①肉
②卵
③牛乳
④油脂類
⑤魚介類
⑥大豆・大豆製品
⑦緑黄色野菜
⑧芋類
⑨果物
⑩海藻類
これらの食品群を〝まんべんなく色々食べること″が
高齢期には大切な食べ方になります。
栄養状態の指標「アルブミン値」
体の栄養状態を調べるためには
血液検査で血清アルブミン値を調べます。
血清アルブミン値が4.2g/dl以下であれば
栄養状態がやや悪い=普段の食生活改善の余地あり
ということになりますので、要注意です。
血清アルブミン値を4.3g/dl以上に保つことで
将来的に要介護状態や痴呆になる率がかなり下がるということが
最近の研究でもわかってきています。
ただ、血清アルブミン値は通常の健診では検査項目に入っていない
ことが多いので、血清アルブミン値がわからないときは
ヘモグロビン値を参考にするとよいでしょう。
栄養状態が悪いと貧血として症状が現れます。
老化のスピードを遅くして、元気で長生きできるよう
日々の食事からしっかりサポートしていきましょう。