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ぜひ食べて! 南国感じる鹿児島の 伝統食「ヘチマ料理」! ─鹿児島県─

2014年10月02日

 鹿児島には夏になると、食卓に必ずといってもいいほど登場する野菜があります。それは「ヘ・チ・マ」!!
 緑色の外見が涼しさを感じさせてくれる夏を代表する野菜です。料理に彩りを添えるために欠かせない存在。
 繊維質の多い野菜ですので健康にいいだけでなく、天然の「タワ
シ」としても重宝されています。
 私の幼いころ、家の庭にヘチマが植えてありました。夏の太陽がじりじりと暑い時期になるとヘチマがぐんぐんとみるみる大きく成長していきます。
 これがタワシの材料であることは知っていたが、母から「ヘチマは食べることもできるの。とっても美味しいのよ」と言われた時は「タワシを食べるの!? どうやって?」と衝撃を受けたことを今でもよ
く覚えています。

「ヘチマ」を食べる

 ヘチマを食べるのは全国的にも珍しいですが、あの「つるっとした食感」は何ともいえないおいしさがあります。
 ヘチマは東南アジア原産で一年生つる性草木です。
『本草綱目』によると、中国では16世紀には南北いずれにも広がり、花、芽、つるが食され、若い果実は皮をむいて煮食されたとあります。
 また、成熟果の繊維を靴の敷物に利用したことも記されています。中国名の糸瓜(スークワ)はその繊維に注目した名。和名は、糸瓜(いとうり)から「とうり」に変化し、「と」はいろはの「へ」と「ち」の間にあるのでヘチマとなったといわれています。
 ヘチマは万能食材で、料理の幅が広いのも特徴のひとつ! その日冷蔵庫にある食材をみてササっと作ることができます。しかも短時間で調理ができるので、夏の暑い時期に長時間台所に立つ必要もありません。栄養価も高いとなると夏におすすめの一品です。
 鹿児島の家庭でよく作られる料理は、「ヘチマの油炒め」「みそ炒め」「ヘチマ入りそうめん」』など。
簡単にそれぞれの料理のレシピをご紹介します。

ヘチマの油炒めレシピ

【材料(3人分)】
豚肉・・・100g
ヘチマ・・1/2本
玉ねぎ・・1/2個
モヤシ・・50g
塩・胡椒・少々
油 ・・・適宜

【作り方】
① 玉ねぎとヘチマは薄切りにする。
② フライパンに油を熱し、豚肉と①の玉ねぎを炒め、玉ねぎが透明になってきたら、ヘチマとモヤシを加え、塩・コショウしてさらに炒める。
(※炒めすぎるとヘチマが煮崩れるので注意)

ヘチマのみそ炒めレシピ

【材料(3人分)】
ヘチマ・・・1/2本
ニガウリ・・1/2本
ナス ・・・1本
いりこ・・・1握り
みそ ・・・20g
砂糖 ・・・10g
油  ・・・適宜


【作り方】
① ニガウリ、ナス、ヘチマを薄切りにする。
② フライパンに油を熱し、まず①のニガウリとナスを入れて炒める。
③ ②にヘチマといりこを加えてさらに炒め、砂糖とみそで味を調える。

ヘチマ入りそうめんレシピ

【材料(3人分)】
そうめん・・・300g
ヘチマ ・・・1/2本
だし汁 ・・・適宜
しょうゆ・・・適宜


【作り方】
① ヘチマは薄切りにする。
② そうめんをゆでる。
③ 鍋にだし汁を煮立てて、しょうゆで味を調えたら①と②を加えてヘチマに火をとおす。

ワンポイントチェック!

【栄養】
果実には水分が多く、炭水化物やビタミンCなどを含みます。つるからとれるヘチマ水は、サポニンや硝酸カリウムなどを含みます。

【効用】
インドでは古くから果肉、花、枝葉を咳や痰の薬に用いられていました。日本へは江戸時代の初めに伝えられます。未成熟果を食用にします。

【アドバイス】
 熟すと硬くなり食べられなくなるので、ヘチマが熟す前の新鮮なうちに調理をしましょう!
 つるっとしたヘチマの食感と、みその風味・さっぱりと塩味・ほっとする出し味は、衰えた食欲を回復させてくれる夏の定番料理です。鹿児島に古くから伝わる家庭の味!一口食べると南国の風を感じますよ! ぜひ召しあがってみてください!