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硬水と軟水の違い
2014年07月23日
水の分類のひとつに硬度による分類があります。
環境や土壌の違いによって特徴があります。硬水と軟水の分類、食文化、適性について見ていきましょう!
硬度とは
水の中に含まれるミネラル(カルシウム、マグネシウム)の量によって、決まります。
ミネラルの量が少ない(硬度が低い)と軟水、多い(硬度が高い)と硬水と言います。
硬度の表示にはアメリカ硬度、ドイツ硬度、イギリス硬度、フランス硬度などがありますが、現在、日本ではアメリカ硬度を使用しています。
【アメリカ硬度】
水1リットル中に含まれるカルシウム、マグネシウムの量を炭酸カルシウム量に置き換えたものです。1リットルあたり1mgを1度としています。
また、日本の水道水の硬度の平均は60mg/リットルです。ヨーロッパの水道水の硬度は200mg/リットル以上の地域も多く、地域、文化により水の定義も近いが大きいことが分かります。
硬水と軟水の特徴
【味の違い】
硬水はのどごしが硬く、渋みや苦みを感じることがあります。
軟水はのどごしが柔らかく、さっぱりしていて飲みやすいという特徴があります。
【適した調理】
硬水は肉の臭みを消したり、灰汁が出やすいという特徴があり、また、パスタにコシを与えるなどの効果もあります。肉料理やパスタ料理が多いヨーロッパ、やはり地域的、文化的にもヨーロッパの水は硬水が適しているのですね。
軟水はお米などにたっぷり水分が吸収させることができ、おいしく炊けるという特徴があり、また、昆布やかつおのだしをとる際、グルタミン酸等の旨み成分を引き出すことができるので日本料理に適しています。
さらに、軟水はお茶や紅茶をおいしく入れるのに適しています。
水の硬度による食文化の違い?!
ほとんどが軟水の日本では、水を使った料理法が発達しました。和食は煮物、茹で物、吸い物など水を使った料理法が多いです。
一方、硬水が多いヨーロッパでは、蒸したり、オーブンで焼いたり、炒めたり、水で直接煮込まず、スープストックや牛乳で煮たりする料理法が多いです。
これは硬水に含まれるミネラルがたんぱく質を固まらせて、旨み成分が溶け出さないため、水をそのまま利用しない料理の工夫が生まれたためと考えられます。
どうして、日本は軟水が多いのか
水のミネラル成分は雨水や、雪解け水が大地にしみこみ、川となって流れていく過程で地層などの成分が少しずつ溶け込んだものです。
ヨーロッパなどでは石灰性の地層が多く、カルシウムなどが多く含まれ、地下水や川の水は時間をかけてゆっくり海へ流れるため、ミネラルがたくさん溶け込んだ硬水となっています。
日本では密度の低い火山性の地層が多いこと、さらに降水量が多く、地形が急で水の流れが速いことなどがあり、ミネラルの少ない軟水となっています。