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家族の健康を守る具だくさん汁 「ざくざく」 ─福島県─

2014年10月03日

 「うちの味噌汁はいつも具沢山だよね。」と主人や子供達によく言われていましたが、言われるまでは家庭料理はどこもこんなものだと思っていました。
 福島で生まれ22歳まで福島で暮らしていました。母親も祖母も生粋の福島県人。現在の我が家の食卓は、東京に居ても代々受け継がれてきた福島の料理が根強く残っています。

 福島は自然に恵まれ、自然に育まれた農作物が豊かに収穫される土地です。福島の郷土料理には野菜をふんだんに使われているものが多いのは、この恵まれた環境によるところが大きいのではないかと思います。
 美味しいだし汁の中に色々と賑やかにどっさりと野菜が入っているスタイル。福島県内にはこのスタイルの郷土料理が二つ存在します。
 家庭では我が家のようにアレンジされてしまっていますが、本家本元の郷土料理はどんなものでしょう。探っていきましょう。


写真:二本松市HP「二本松地域の伝統食について」より

会津地方の郷土料理『こづゆ』

 まず一つめは、会津地方の郷土料理『こづゆ』。
こづゆは、江戸時代後期に会津藩の武家料理として作られていました。だしを取るのに贅沢にもホタテの干し貝柱を使っていたので、明治時代初期にかけて庶民にも広がっていきましたが、高級料理として、正月や祝い事、冠婚葬祭などの晴れの日のご馳走という位置付けになっていました。
 具材は、干し椎茸、里芋、人参、糸こんにゃく、筍、きくらげ、豆麩、青み(みつ葉、茹でたインゲン等)。味付は塩、酒、醤油。
 だし汁は貝柱のもどし汁だけでなく、干椎茸の戻し汁も使います。

二本松市の『ざくざく』

 こづゆとは対照的に庶民的で気軽に食べていたものが、二本松市の『ざくざく』。ざくざくは、だしを煮干で取り、具材をザクザクと大きく切って煮ていきます。
 具材は大根、人参、里芋、ごぼう、生椎茸、焼き豆腐、こんにゃく、鶏モモ肉。具材をすべて1cm程度のさいの目切りにし、汁に入れる前にごぼうなどの下茹でをきちんと行います。だし汁に具材を投入し、柔らかくなるまで煮て、醤油と酒で味を整え、最後にみつ葉を加えます。

家族の健康は食卓から

 具沢山汁は、食物繊維やビタミン、ミネラル類をしっかり摂る事ができます。生活習慣病の改善や免疫力の強化、体調を整えてくれる優良な健康食品だと思います。

 我が家では、主人はさて置き、現在、22歳、20歳、18歳の3人の子供達は、この食事のお陰で虫歯ゼロ、風邪やインフルエンザ等のウイルスもはねのけて育ち、みんな本当に元気です。家族の健康は、家庭の食卓に大きく左右されます。
 子供達が成人していくこの時期になって、改めて痛感致します。子供の頃に習慣的に摂っていた福島の郷土料理が自然に身に付いていて、それが今、家族の健康体をつくってくれているのです。素晴らしいことだと思いませんか。
 私が福島で身に付いたように、我が家の二人の娘達もこれから築き上げていくだろう家庭でも家族が健康になれる食生活の伝承を期待しています。福島県人でない方でも、是非、具沢山汁をどんどん食卓に取り入れていただきたいです。

ざくざくの作り方

~二本松市HP「二本松地域の伝統食について」より~
【材料】(4人前)
 大根    1/ 10本
 人参    100g
 里芋    400g
 ごぼう   100g
 生椎茸   2~3個
 みつ葉、塩 適当
 焼き豆腐  1/2丁
 こんにゃく 1/2丁
 鶏もも肉  100g
 だし汁   6カップ
 醤油    大さじ2~3
 酒     大さじ1~2

【作り方】
1. だし汁を準備する。煮物に使うほど濃くないものでよい。
2. 材料を細かく1センチ角程度のさいの目切りにする。細かい方が良い。
 ※ ごぼうは固いので、切ったものを一度水から煮てゆでこぼす。
3. すべての材料とだし汁を鍋に入れ煮る。
4. 材料に火が通ったら、酒、醤油を入れて一度煮立たせ(味見をして必要に応じて塩を加えて調整し)火を止める。
5.(みつ葉を加えて仕上げる)
 ※( )は筆者加筆