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日本の伝統調味料~醤油編~

2015年01月29日

日本には地域の食材の美味しさを引き立てる
「さしすせそ」の伝統調味料が豊富にあります。

伝統調味料は各地の気候から好まれる味や、
その地域でとれる食材に合わせた配合や使い方で
ふるさとの味をより引き立ててくれる立役者でもあります。

そんな日本の調味料の中でも今回は醤油にフォーカスをして
成りたちを紐解いてみたいと思います。

醤油の歴史

日本の調味料は江戸時代に和歌山県湯銭という地域で
醤油が作られるようになってから全国に広がっていった、という説があります。
ちなみに、醤油が普及する前は梅干しを作ったときに残る梅酢が調味料として
一般的に使われていたそうです。

醤油の発達は、日本独自の生食文化を形成するきっかけとなりました。
そして何よりも和食文化の基盤になった調味料とも言えます。
刺身やすしなど、素材と醤油の組み合わせによって、
素材の味を引き立てる美味しい食べ方が生まれたのも、
醤油という調味料があったからです。

同じく古い調味料として「味噌」もありますが
「味噌」は民衆文化の中で普及したのに対し、
醤油」は上層階級の文化レベルで伝播したと言われています。

味噌は一般民衆の調味料として慕われた調味料であり、
たんぱく質源としても重宝されていたようですが、
醤油は高級料理の調味料として発達していったそうです。

原形は「魚醤」

大豆を原料とする醤油が確立するまでは、魚醤が使われてしました。
現在でも秋田県にしょっつる、四国ではいかなご醤油、能登のいしるなど
限られた地域で郷土食として残っているのでご存じの方も
多いのではないでしょうか。

醤油は大豆を原料とした発酵調味料として伝わってきましたが、
製造技術に創意工夫を凝らして、今のような洗練された万能調味料に
作り上げたのは、なんと日本人の技術だそうです!

今では世界中の食卓で使われる世界共通の調味料である「醤油」は
日本人の創意工夫の結晶だった、ということになります。
素晴らしいですね!

醤油と味噌 どちらが古い?

先ほども上述したように、
醤油が生まれる前は、魚を原料とした魚醤油がありました。
弥生時代にはすでに調味料としての魚醤油が存在していたようです。

一方で味噌は室町時代以降に、一般民衆的な調味料として使用されていたと
言われていますので
醤油の原型は味噌よりもずっと前からあったと考えられています。

そして醤油は平安時代には、すでに高級調味料として広く使われるように
なっていたようですので、その頃には味も随分と進化していたんでしょうね。


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今では国民的調味料となっている「醤油」。
原形は弥生時代から存在するという、驚くほど長い歴史がありました。
まさに先人の知恵が詰まった調味料です。

昔はインターネットも携帯もない時代。
試行錯誤の連続と、五感をフル活用し、人間の持つ感覚を研ぎすませながら
先人はものづくりをおこなってきたことでしょう。
世の中が便利になる反面、
本来人間が持っている感覚や能力を使う機会も減っているように思います。

「醤油」を世界レベルに作り上げた日本人の繊細なDNAを
次世代にも継承していけるよう、ぜひ「感覚」を研ぎ澄ますということを
忘れないでいたいなと思った筆者でした。

《47 都道府県・伝統調味料百科/丸善出版 参考》