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ココナッツオイルの脂肪酸

2015年12月10日

2015年ブームになったココナッツオイル。
美容やダイエットに効果的と言われる植物由来のココナッツオイルですが
ブームや巷の噂に振り回されず
ココナッツオイルの成分や特長について正しく理解をしておきましょう。

ココナッツオイルとは?

ココナッツオイルは熱帯地域でとれるココヤシからとれる
ココナッツミルクを精製して作られる油です。
植物由来の油ではありますが、実は動物由来の油に多く含まれる
飽和脂肪酸の割合が高いのが特長です。

さらに飽和脂肪酸の中でも、短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸と
脂肪酸の種類がありますが、
ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。

短鎖脂肪酸…炭素原子数が4個から6個までの脂肪酸
中鎖脂肪酸…炭素原子数が8個から12個までの脂肪酸
長鎖脂肪酸…炭素原子数が14個以上の脂肪酸

通常、動物由来の脂肪酸である飽和脂肪酸は
悪玉コレステロールを増やすなど、できれば避けたい脂肪酸として
考えられてきましたが、
ココナッツオイルが健康的であると言われる理由としては
「中鎖脂肪酸」が豊富である、ということが言えます。

中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸と比べて吸収や代謝が早く、
効率よくエネルギーに変わることができ、
脂肪として溜まりにくい脂肪酸とされています。

長鎖脂肪酸の代わりに、中鎖脂肪酸へと摂取する油の質を変えることで
脂肪がつきにくくなる、というのが
ココナッツオイルがブームとなっている理由です。

中鎖脂肪酸で健康になれるのか?

先ほども説明したように、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸と比較して
吸収や代謝が早く、効率よくエネルギーに変わることができ、
脂肪として溜まりにくい特長があると説明しました。

中鎖脂肪酸にこういった特長があるからと言って
適量以上に摂取してしまえば、体重増加や逆に悪影響が出てしまうことは
容易に想像できるでしょう。(栄養士であれば)

ですが一般の方は魅力的なキャッチフレーズや、巷で流れるよい部分のみを
フォーカスして情報を受け取ってしまうため、
小さな特長も大きな効果効能があるかのように一人歩きしてしまっているようです。

中鎖脂肪酸の歴史

ココナッツオイルで注目されている、中鎖脂肪酸ですが
中鎖脂肪酸は実は40年以上も前から医療現場で利用されている油でもあります。
エネルギーを積極的に必要とする未熟児や、腎臓病患者、高脂肪食を必要とする
患者など、効率よくエネルギーを摂取したい人のために
医療現場では広く利用されていたようです。

今後も、食が細くなり少量で効率よくエネルギーを摂取する必要のある
高齢者への食事への応用や
アスリートのためのエネルギー補給、
そして脳神経疾患(アルツハイマー病)などのへの活用が期待されています。