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ご存知の通り、食の宝庫・食の王国 北海道!「三平汁」 ─北海道─
2016年12月27日
冬の寒さや豪雪は時に想像を絶するほど厳しいのですが、我々が北海道に住み続ける大きな理由の一つが『食』であると言っても過言ではないと思います。
北海道の面積は九州の2倍、日本の面積のおよそ1/4を占めるため、食べ物もその土地土地で様々なものを楽しむことができます。農業、漁業、畜産、酪農、どのジャンルにおいても素晴らしい素材がそろっているのが特徴です。
今回はその中でも北海道の一つの代名詞とも言えるような食材『鮭』を使った郷土料理、『三平汁』をご紹介します。
三平汁のルーツ
鮭料理というのは非常に多くの種類があります。石狩鍋、チャンチャン焼きなどはおなじみですね。三平汁も北海道民にとってはなじみ深い料理なのですが、道外の方にとってはマイナーなのかもしれません。
三平汁の名前の由来は諸説あって、
・斉藤三平という南部藩士が作った
・三平さんという松前藩の漁師が作った
・三平皿(料理の写真参照)に入れて食べていた
どの説が本当なのかは定かではありませんが、南部藩や松前藩という地名、また三平皿の発祥時期などを考えると、少なくとも江戸時代末期には既に三平汁が食されていたと考えられます。ちなみに斉藤三平は俳優の高島忠夫さんの先祖だそうです。
三平汁の栄養
三平汁の材料は、鮭、大根、人参、じゃがいも、ねぎなど石狩鍋と似ています。違いは魚そのものの塩をいかした塩味であることです。地域また家庭によって鮭の他に、にしん、たら、ほっけなどの魚の塩引き、または糠漬けを使うこともあります。鮭の場合はあらを使用することが多く、もともとはあらを捨ててしまうことがもったいないというエコの発想からできた料理なのかもしれません。
鮭の栄養価について、実は非常に優れた食材です。魚の栄養といえばDHA・EPAが代表的ですが鮭にも豊富に含まれており、これらは脳や血管の健康に役立ちます。EPAはさらに脳内神経伝達物質セロトニンの働きを促すので精神面の安定にも有効です。また化粧品の材料にも使われる「アスタキサンチン」や「コラーゲン」も豊富でアンチエイジング効果も抜群です。さらにアスタキサンチンには抗肥満作用や持久力向上効果もあるのでダイエット効果的も期待できます。他にも痛風の予防・改善や何と育毛効果まで!?健康・美容のために奮闘する万能選手なのです。
コラーゲンは皮に含まれますので皮も食べましょう。アスタキサンチンは焼きすぎると減少しますので焼きすぎないこと、「煮る」「蒸す」という調理法がおすすめです。またアスタキサンチンはビタミンCや大豆、オリーブオイルと一緒にとることで吸収が良くなります。
「鮭を週に2回以上食べると寿命が2年延びる」という説もあるくらい、鮭は栄養的にも優れた魚です。安価で手に入れやすくもあるので積極的に摂りたい食材の一つです。
三平汁の作り方
<材料(2人前)>
・鮭のあら お好きな量(大きければ食べや
すく切る)
・じゃがいも 中1個(一口大の乱切り)
・大根 2~3㎝(5㎜いちょう切り)
・人参 2~3㎝(5㎜半月切り)
・ねぎ 10㎝(薄めの斜め切り)
・昆布(だし用) 適宜
・塩 適宜
・酒 小さじ1
・水 500㏄
<作り方>
①鍋に水と昆布を入れ火にかける。沸騰直前に昆布を取り出す。
②沸騰したらねぎ以外の野菜を入れて煮る。
③②の野菜に火が通ったら鮭のあらと酒を入れて再度煮る。大きめの鮭に火が通ったら味を見て塩を適宜入れる。ねぎを入れて火を止める。
④器に盛りつけて出来上がり。
<注意点>
・鮭を入れてから煮過ぎると鮭も野菜も見崩れして不味くなる。火が通ったタイミングですぐに火を止める。
・鮭の塩加減によって塩の量を調整する。ほとんど足さなくてよい場合も多い。