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本州最南端の美食の産地 「しらすの天かす丼」─和歌山県─
2017年01月30日
本州最南端に位置する和歌山県は、昨年開創1200年を迎えた高野山や、3大美人の湯で知られる龍神温泉をはじめとする数々の温泉があったり、日本一の長さを誇る那智の滝の他、広々とした海岸線が続く白浜、串本など、山・海・川に囲まれた自然豊かなところです。
このような環境下にあるため、美味しい食べ物もたくさんあります。
日本一の生産量『みかん』をはじめとする柑橘類や、南高梅で有名な『梅』などの果物が特産品としてあります。
また、漁獲量日本一の『太刀魚』や、『しらす』『かつお』などの海産物も豊富にとれます。
その他、湯浅町は『醤油発祥の地』としても有名です。時代は鎌倉時代までさかのぼります。中国から金山寺(きんざんじ)味噌という、食べる味噌が伝えられました。これを 作る過程から、製法を改良し作られたものが『醤油』です。醤油は室町時代から商品化され、現在でも引き継がれています。
このような和歌山県のおいしい食べ物をたくさん紹介した中で、今回は『しらす』についてお話します。
しらすの定義・保存法
しらすは『かたくちいわし』などの稚魚を 干して作ったものです。薄い塩水で茹でて7分乾きにしたものを『しらす』と言い、さらにこのしらすを乾燥させたものを『ちりめんじゃこ』と言います。年中獲れますが、特に春が旬でたくさん獲れます。
保存方法は冷蔵庫に入れて、早めに食べきること。長期保存をしたい場合は、小分けにしてラップで包み、ジッパー付きの袋などに入れて冷凍保存します。保存期間は2~3週間。使う際は凍ったまま、または自然解凍して食べるとよいです。
しらすの栄養と食べ方
しらすは、骨ごと食べられる魚なのでカルシウムが豊富です。しらす10gあたり52mgのカルシウムが含まれており、現代人に不足しやすい栄養素であるカルシウムを補うことができます。ただし塩分も多く含まれています。しらす10gあたり0.7gの塩分が含まれていますので、食べ過ぎには注意しましょう。
高血圧予防のため、お勧めしたい食べ方は、塩抜きをして食べること。ザルなどにしらすを入れ、さっと熱湯を回しかけるだけで塩抜きができます。
この方法を行うことで、離乳食にも使うことができ、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年齢層で食べることができる使いやすい食材です。
また、そのまましらすを食べる際は、醤油などの調味料を使用せず、レモンやスダチなどの柑橘類や、大葉や生姜などの香味野菜をうまく利用することで、減塩にもつながります。食べ方にはくれぐれも気をつけましょう。
その他、しらすにはエラスチンという成分が含まれています。エラスチンは肌のハリや弾力に関係する美容成分で、ビタミンA*1やビタミンK*2を多く含む食品と合わせて摂ると有効とされています。女性には特に強い味方!!しらすパワーで健康に美しく過ごしましょう。
*1ビタミンAを多く含む食品…レバー、う なぎ、人参など
*2ビタミンKを多く含む食品…ほうれん草、 納豆、わかめなど
『しらすの天かす丼』
<材料(2人分)>
しらす 30g
天かす(市販) 10g
白ネギ 25g
卵 2ケ
☆だし汁(かつお・昆布だし) 100cc
☆酒 大さじ1
☆みりん 大さじ1
☆しょうゆ 大さじ1/2
ご飯 300g
<作り方>
①だし汁を作る。
水500ccに昆布10gを鍋に入れて加熱し、沸騰直前で昆布を取り出す。次に花かつお 30gを加えてひと煮立ちしたら火からおろす。花かつおが鍋底に沈んだら、ザルでこ す。
②白ネギは斜め薄切りにし、卵は割りほぐ す。
③鍋に☆を全て入れて強火にし、煮立ったら 白ネギを加える。しんなりしてきたら中火 にし、しらすと天かすを加え、さらに溶き 卵を回し入れる。卵が半熟状になれば火か らおろし、蓋をして蒸らす。
④器にご飯を入れ、上から③をのせる。