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寒い季節に食べたくなる 鍋料理 ─秋田県─

2017年02月28日

  秋田県といえばきりたんぽ鍋ですが、家庭でより親しまれているのは「だまこ鍋」というのをみなさんはご存知でしたか?そもそも、「だまこ」とはなんぞやと思う方が多いことでしょう。だまことは、炊飯したあと半殺し(半分つぶすという意味)にしたご飯を団子のように丸めたものです。そのため、だまこの由来はお手玉の方言からきています。鍋の具材や味付けはきりたんぽとほぼ同様で、鶏ガラでとった出汁をしょうゆで調味します。

だまこ鍋の歴史

  なぜ、だまこ鍋が家庭に浸透しているかというと、きりたんぽはすりつぶしたご飯を秋田杉の棒に巻きつけて焼くのに対し、だまこはすりつぶしたご飯を丸めただけのものであるので、調理が簡単だからだと筆者は思っていました。ところが調べてみると、発祥の地が異なり土地柄によるものだと分かりました。きりたんぽ鍋は秋田県北部の大館市発祥で、だまこ鍋は秋田県南部の八郎潟でした。だまこ鍋はもともとワカサギやフナなどの焼魚が入り、さらには味噌味だったようです。それが、八郎潟が干拓されたことで魚の漁獲量が減少し、きりたんぽ鍋と同じ肉へと変化していきました。

具材の栄養~せりの根っこまで~

  同じ東北の宮城県ではせり鍋がソウルフードですが、全国的にみるとせりの根っこまで食べるのを珍しく思う方も少なくないかもしれません。せりの根っこはしっかり洗うと土臭さがなくなり、歯ごたえ抜群で少し濃い味付けの鍋にとっても合います。そして味が染みてほっくほくなだまこを頬張ったら冬の寒さなんて吹っ飛びます。秋田県ではだまこ鍋やきりたんぽ鍋を年末年始など行事食として食べる家庭もあれば、普段から食べる家庭、まったく食べない家庭もあるようですが、冬の寒い時期はやっぱり食べたくなります。 具材のせりやごぼう、しらたきは食物繊維を豊富に含み、便通改善が期待できます。特 にごぼうはほとんどが不溶性食物繊維であるため整腸作用のほか、動脈硬化予防にもなります。

天然記念物 比内地鶏を使って

  だまこ鍋に欠かせない比内地鶏は薩摩地鶏や名古屋コーチンとともに日本三大地鶏と呼ばれています。肉質は、「歯ごたえはあるが加熱しても固くなり過ぎず、肉の味が濃い」「濃厚な脂の旨み」と評価されています。比内地鶏ではなく、普通の鶏肉でも代用できますが比内地鶏だと出汁に旨みがでてさらに美味しいです。天然記念物である比内鶏は秋田の動物園でもみることができます。

秋田県限定 万能つゆ

  余談ですが、秋田県限定で東北醤油株式会 社から販売されている「味どうらくの里」という万能つゆがあります。この商品は甘みが強く、麺つゆや煮物、鍋物など様々な料理に使え、地元では知らない人がいないほどに有名です。醤油代わりに使用する家庭もあるようで、スーパーで特売があると1人2本までなどと制限がかかるほど。今回のだまこ鍋のレシピでも醤油やみりんをこの「味どうらくの里」や市販の比内地鶏スープに代替して作ることも可能です。具材や味付けが家庭によって違うと思いますが、レシピを参考に作っていただけたら嬉しいです。

だまこ鍋 レシピ

<材料(3~4人前)>
・だまこ    ご飯2合分(約15個)
・比内地鶏   200g
・せり     2束
・ごぼう    1本
・まいたけ   2パック
・しらたき   1パック
・醤油     適量
・みりん    適量
・酒      適量
・塩      少々
・鶏ガラ    1羽分

<作り方>
①ご飯は熱いうちにすり鉢に入れ、半分ほど 粒が残る状態まですりこぎで擦る。
②擦ったご飯を直径3cm程度に丸めていく。 塩水につけると煮崩れしにくい。
③鶏ガラで出汁をとった鍋に調味料を入れ、 鶏肉、ごぼう、まいたけ、しらたきを入れ 煮る。
④ある程度火が通ったらだまこ、最後にせり を入れ煮立ったら完成。