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黒・黄・赤・白・青(緑)目にも鮮やか 「長崎ちゃんぽん」 ─長崎市─

2017年04月28日

長崎は、九州の北西に位置し、古くから海 外との交流がたいへん盛んな地域です。地形 がすり鉢状で、平地が少ないため、山肌に沿 って住宅が密集して建てられています。夜に なると山の上まで明かりが点灯し、市内の稲 佐山展望台などから見る夜景は、モナコ、香 港と並ぶ世界三大夜景として認定されていま す。また、かつて炭鉱で栄え、現在無人島の 端島(通称:軍艦島)が昨年世界文化遺産に 認定されました。日本ではじめて建てられた 鉄筋コンクリートの建物が潮風や台風にさら されながらも、当時の面影を残し、訪れた人 をタイムスリップしたような気持ちにさせる 場所となっています。 鎖国時代、唯一海外と交易があり、様々な 文化が流入 しているこ とでも知ら れていま す。長崎市 の繁華街近 くに長崎新 地中華街が
あります。オランダ坂や出島にも近いこの場 所には古くから中国の人々が暮らしていま す。その人々が中国の旧正月(春節)にあわ せて、ランタン(中国提灯)を飾り、豚の頭 を並べ、お祝いのお祭りをはじめました。そ の小さなお祭りが年々拡大していき、今では 長崎ランタンフェスティバルとして冬の一大 イベントとなっています。日本と中国の文化 が融合した幻想的な風景はとても美しく、毎 年多くの人が冬の長崎を訪れています。

長崎の食文化

鎖国時代、出島での貿易が盛んだったこと から、当時貴重な食材だった砂糖が手にはい りやすく、カステラが作られるようになりま した。長崎天ぷらも衣に砂糖が使われていま す。海が近いこともあり、鯵や鯛、あらかぶ (カサゴ)、甘鯛、いさき、伊勢エビ、寒グロ (メジナ)など旬の魚が食卓にのぼります。 最近ブームのあごだしの“あご”は実はとび うおのことです。「あごが外れるほど美味し い」ことからそう呼ばれることになったと か。うどんやみそ汁、雑煮など広く活用され ています。また、オランダ、中国の文化が広く根付いており、宴会や結婚式などでは、 『和華(わか)蘭(らん)(卓袱(しっぽく) 料理)』といって、刺身などの和食、豚の角 煮などの中華、パイやクリーム煮などの洋食 (オランダ)が融合したメニューを、円卓を 囲んで食べるスタイルが定番となっていま す。

長崎ちゃんぽん

東京では麺類といったらラーメンが主流で すが、長崎で食べられる麺類は基本的にちゃ んぽん、皿うどんです。家庭ではもちろん、 外食、出前など、季節関係なくよく食べられ ています。長崎のソウルフードで大変ポピュ ラーな食べ物です。ちゃんぽん発祥の由来は 諸説がありますが、一説に食費を捻出できな い中国人留学生に、料理店の店主が栄養のあ るものを食べさせたいと考案されたといわれ ています。 キャベツ、人参、玉葱、もやし、きくらげ や魚介類、豚肉など、たくさんの素材の旨み や成分がスープに溶け込み、一品で栄養バラ ンスが整うよう工夫されています。また、 『黒きくらげ』がはいっているのも特徴です。 近年、黒ゴマ、黒米など黒い食材が注目され ていますが、『黒きくらげ』には、他の食品 と比較しても、鉄(貧血対策)、カリウム(むくみ対策)、葉酸(認知症対策)、ビタミ ンD(骨粗鬆症対策)、食物繊維(整腸)な どの含有量が優れています。先人達は、体験 の中から、黒・黄・赤・白・青(緑)の色合 いが持つパワーを知っていて、それを目にも 鮮やかなちゃんぽんで表現したのかもしれませんね。

長崎ちゃんぽんレシピ

<材料(2人分)>
ちゃんぽん麺 2玉
豚肉 60g
いか 40g
えび 40g
かまぼこ  50g
キャベツ  150g
人参 40g
玉葱 50g
もやし 60g
黒きくらげ(乾)  5g
油  大さじ1
鶏がらスープの素  大さじ2
白こしょう  少々
水  800cc
塩  小さじ1
酒  大さじ1
薄口醤油  大さじ1
(季節にあわせて、あさりや牡蠣など旬の魚 介類を使用するのもおすすめです)

<作り方>
①豚肉、いかは一口大、えびは背ワタをぬく。 キャベツは大きめの角切り、人参、かまぼこ は短冊、玉ねぎはスライスしておく。きく らげは水またはぬるま湯で戻しておく。
②深めのフライパンに油を入れ、①を炒め る。途中もやしを加える。
③温めておいたスープと調味料を入れ、ひと 煮立ちしたところでちゃんぽん麺を入れ る。数分煮込んだら盛り付ける。お好みで 白こしょうを振る。