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夏の定番!山形の「だし」 ─山形県─
2018年07月31日
山形県は東北地方の日本海側に位置し、県土面積のうち72%を森林が占めている自然豊かな土地です。
県内の全市町村に温泉が湧き、泉質も様々という珍しい特徴もあります。夏は暑く、冬は雪が積もる寒い地域ですが、四季がはっきりしており、その気候を生かして作られる美味しいものがたくさんあります。
さくらんぼやラフランスを代表とした果物や、そば、ラーメン、秋には里芋を使った芋煮など四季折々で様々なものが楽しめます。
山形県の「だし」
今回ご紹介する「だし」は、山形県で夏によく食べられている郷土料理です。
発祥や名前の由来など正確なことはわかっていません。なす、きゅうりなどの夏野菜と、大葉、ミョウガなどの香味野菜を細かく刻み、しょうゆや麺つゆなどで和えたシンプルな料理です。
使う食材は各家庭によりバリエーションがあり、ピーマンやネギ、生姜、こんにゃく、豆腐など様々です。最近ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでもよく見かけるようになりました。
ねばねばの「だし」
「だし」を語る上で重要なキーワードは「ネバネバ」です。山形県民の中でもネバネバする派とネバネバしない派に好みが分かれるのですが、ネバネバのカギを握るのは「なっとう昆布」とよばれる食材です。
「なっとう昆布」とは、北海道の道南地方で収穫されるガゴメ昆布などを乾燥させ、細かく刻んだもので、納豆のようにネバネバしているのが特徴です。山形県内のほとんどのスーパーで売られている「なっとう昆布」ですが、関東地方ではなかなかお目にかかることができず、まさに「だし」のための食材といっても過言ではありません。「なっとう昆布」が手に入らない場合は、代わりにオクラやとろろ昆布を入れるのもおススメです。
熱い夏の食卓に「だし」
夏野菜をたくさん使うので、山形の食卓ではほぼ夏にしか登場しない「だし」ですが、実はそれは理にかなっていることなのです。
夏野菜には体を冷やす効果があるものが多く、特にきゅうりには暑い夏に不足しがちな水分とカリウムが豊富に含まれています。また、なすの皮に多く含まれているアントシアンには抗酸化作用があり、夏の日焼けした肌のメラニンの生成を抑制しシミをできにくくしてくれます。
野菜は旬の時期に栄養価が一番高くなるため、旬のものを旬の時期に食べることで効率よく栄養を摂ることができるのです。食欲の落ちてくる梅雨から夏にかけてぴったりな一品です。
家庭にある野菜で手軽に作れる「だし」。冷ややっこにのせたり、そうめんやそばの薬味として使ったり、様々な食べ方がありますが、筆者の一番のおススメは温かいご飯にのせて食べることです。前日に作っておけば忙しい朝にも大活躍です。納豆ご飯や卵かけご飯の上にのせれば、たんぱく質も一緒に摂れて一石二鳥!ぜひ一度お試しください。
ここでは代表的な野菜を使ったレシピをご紹介します。
夏野菜を使った「だし」レシピ
<材料(2~3人分)>
・きゅうり(中) 2本
・なす(中) 2本
・オクラ 5本
・大葉 5枚
・しょうゆ 大さじ2
・和風だしの素 大さじ1/2
・なっとう昆布 大さじ1
<作り方>
①なっとう昆布を表記通り水で戻す。
②なすはヘタを落とし、千切りにし水にさらしてアクを抜く。
③オクラは塩でこすり洗いし、耐熱皿に並べラップをして電子レンジで500w1分加熱する。ガクを落とし、小口切りにする。
④きゅうり、大葉はみじん切りにする。
⑤②の水気を切ってみじん切りにし、 ③、④と合わせ、①、しょうゆ、和風だしの素を加えてよく混ぜ、冷蔵庫で一時間ほど
置く。味が馴染んだら完成。
※ポイントは包丁で刻むこと。様々な野菜を刻むのでついフードプロセッサーなどを使いたくなりますが、水分が出てしまい
美味しくなくなってしまいます。また、生野菜ですので長期保存には向きません。冷蔵庫で2~3日程度は保存が可能ですが、できるだけ早く食べるようにしましょう。
いかがでしたか?今回は山形の「だし」についてご紹介してきました。郷土料理とはそれぞれの地域で長い歳月をかけて伝えられてきた大切な食文化です。世代を超えていつまでも語り継がれるよう、ふるさとの味・郷土料理を大切にしていきたいと改めて感じました。