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信玄公も愛した山梨を代表する 郷土料理「ほうとう」 ─山梨県甲府市─

2018年11月28日

 ほうとうは、山梨県を代表する郷土料理です。
 全国的にもその知名度は高く、山梨県にいったらせっかくだから食べて帰りたいと思っている方も多いのではないでしょうか?
 山梨県民にとっては、小さい頃から食べている馴染みの家庭料理なので、外食で食べるということはあまりしません。しかし、県内の観光地を中心にほうとう専門店がいくつも軒を連ねているので、県外からの旅行者も美味しいほうとうを手軽に食べることが出来ます。最近は、暑い夏でもオススメの「おざら」と呼ばれる冷たいつけ麺風のほうとうもあります。

ほうとうの歴史~武田信玄公の強さの秘密に?~

 ほうとうの歴史は古く、さまざまないわれがあるようですが、今回は私が大好きな武田信玄公の説をご紹介します。
 まず、「ほうとう」という名称の由来ですが、武田信玄公自ら伝家の宝刀で、麺を細く長く切ったことから、宝刀(ホウトウ)と呼ばれるようになったそうです。ほうとうに使われる味噌や麺は持ち運びが容易で、調理に手間がかからず、野菜がたくさん入り栄養バランスもとれるので、天下統一を目指していた信玄公はこれを野戦食として食べていたそうです。信玄公の強さの秘密はここにもあったのではないでしょうか。
 また、屋外で作る時は兜を逆さまにしてほうとうを煮る鍋の代わりにしていたという話も聞いた事があります。とても豪快で、これぞ男の料理という感じですね。
 そんな、素早く作ってすぐ食べることが出来るほうとうですが、私はカレーのように一晩寝かせた2日目のほうとうが大好きです。おじやのように消化がよく、優しい味わいは、食べると懐かしい思い出や作ってくれた祖母の事を思い出します。機会があったら是非、食してみてください。

母との思い出

 ほうとうに入れる具材は、比較的自由なので、自分の好みに合わせて色々な種類のほうとうがあります。そんな中でも、ほうとうは「かぼちゃ」を入れるととても美味しくなります。私の母は昔から「うまいもんだよ。かぼちゃのほうとう。」と口癖のようにいっていました。スープにはかぼちゃが溶けて色が黄色くなり、味わいには優しい甘みがプラスされるのです。
 大人になってから判ったのですが、この母の口癖は、美味いを上手いにかけていて、物事が自分の思う様に進んだ時にも使っていたようです。山梨では古くから伝わるダジャレのようなものだそうです。

かぼちゃのほうとうレシピ

<材料(2人分)>
 ・ほうとう 150g
 ・鶏もも肉 100g
 ・油揚げ 1枚
 ・ねぎ 適宜
 ・かぼちゃ 100g
  ※その他お好みの季節の野菜
 ・味噌 50g
 ・だし汁 4カップ

<作り方>
①鶏もも肉はひと口大にきる。
②かぼちゃは大きめのひと口大にする。
③野菜はおおきめに切る。
④鍋にだし汁を入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら野菜と肉を入れ柔らかく10分程度煮る。
⑤ほうとうとかぼちゃを入れ、10分程度煮る。
⑥味噌を入れさらに7~8分煮る。